防衛省公式サイトによると、木原防衛大臣きのう24日の記者会見で、北朝鮮が今月21日に弾道ミサイル技術を使った衛星の打ち上げについて、「米国および韓国とも連携しながら分析を進めた結果、北朝鮮が発射した何らかの物体が地球を周回していることを確認した」と述べている。打ち上げが成功したかの評価は明言を避けている。防衛省は、22日に「これまで地球の周回軌道への衛星の投入は確認されていない」と発表。第三者はだれもが衛星発射は3回目の今回も失敗したと解釈していた。
当事者の北朝鮮は、労働新聞Web版(22日付)などが軍事偵察衛星「万里鏡1号」を搭載した新型運搬ロケット「千里馬1型」を打ち上げ、「偵察衛星の発射に成功」と報じていた=写真・上=。また、韓国軍も「衛星は軌道に進入したものと見られる」との見方を22日に示していた(同日付・NHKニュースWeb版)。
それが、24日になって木原大臣が「何らかの物体が地球を周回している」と述べ、記者からは「ここまで時間がかかった理由」について問われた。大臣は「北朝鮮が発射した何らかの物体が地球を周回している一方、当該物体が、北朝鮮が意図したとおりの機能を果たしているかといった詳細については、引き続き慎重な分析が必要」(防衛省公式サイト)と述べている。記者の質問に対してはダイレクトに答えておらず、じつに煮え切らない。
ロイター通信Web版日本語(25日付)によると、 北朝鮮の金正恩総書記は24日、偵察衛星が撮影した「主要な標的地域」の写真を視察した。国営の朝鮮中央通信が報じた。主要な標的地域には韓国の首都ソウルやアメリカ軍基地がある都市が含まれている。写真は公表していない。また、NHKニュースWeb版(同)によると、アメリカ宇宙軍が運営する人工衛星の追跡サイト「スペーストラック」=写真・下=は、北朝鮮の軍事偵察衛星について衛星番号を割り当てた。衛星番号はアメリカ軍が人工衛星などの物体を管理するために割りふっている。
アメリカは衛星番号を割り振って監視しているのに、なぜ日本の防衛大臣はあやふやな表現でその場をしのいでいるのか。北朝鮮は今後さらに偵察衛星を数発打ち上げて、標的地域の監視を強化するとしている。その先にあるのは現在休戦状態にある朝鮮戦争の再開ではないのか。そのために弾道ミサイルの精度を高め、偵察衛星網を拡充しようとしている。そのとき、日本はどう対応するのか。北朝鮮をめぐる日本と米韓の認識の違いがあらためて浮かび上がった。
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