自在コラム

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★背景に「参院無用」論 そっぽの低投票率 

2022年04月25日 | ⇒メディア時評

   「夏の参院選の前哨戦」と位置づけられ、各党首らが続々と応援に駆け付けた石川選挙区の補欠選挙の投開票がきのう行われ、自民の前の参院議員で公明推薦を受けた宮本周司氏が、立憲民主や共産など野党の新人3人を破って当選した=写真、24日・NHK金沢「開票速報」より=。宮本氏は2013年の参院比例区で初当選し、2期目の途中で今回の選挙区補選に鞍替え立候補し、3期目の当選を果たした。森喜朗元総理のかつての選挙地盤だった能美市出身の51歳。

   今回の選挙で予想していたことが当たった。投票率の低さ。これまで最低の29.9%(前回2019年参院選47.0%)だった。先の知事選(3月13日)は61.8%だったので、その半数にも満たない。今回の市町別の投票率で一番低いのは金沢市の22.9%だった。この投票率の低さをどう読むか。

   先日、知人たちと喫茶店で話していて、「どうせ今回の選挙は、選挙のための選挙だろう」と冷めた言葉が耳に残った。確かに、今回の選挙は知事選に立候補した自民前職の辞職に伴う補選で、制度ありきの選挙だった。選挙戦も内容が希薄だった。立民の女性候補は「ジェンダー平等と格差是正」、共産の候補は「平和と暮らし守る」、NHK受信料を支払わない国民を守る党の候補は「NHKスクランブル放送の実現」などそれぞれ訴えていたが、コロナ禍における中小企業の新興策を具体的に訴えた宮本氏とは争点になるほど熱気は帯びなかった。知人は「単なる補欠選挙になぜ有権者が日曜日に駆り出されるのか」とも。

   知人らとの議論は深まった。投票率の低下の背景にはもっと大きな理由があるのではないか、と。少子・高齢化で生産年齢人口が減少し、そのうちシニア世代を支える年金制度や社会保障制度がグラついてくる。人口減少が急速に進むローカルではすでに道路や橋梁などインフラが荒廃しつつある。そして、国・地方の長期債務残高が1200兆円に膨らんでいる。自国通貨建ての国債は財政破綻の懸念はないとされるものの、この先、かなりのインフレも懸念される。

   つまり、政府が向き合うべき日本の課題や論点が定まってきた。この先、スピード感を持っての対応が必要だろう。ところが時間がかかる。国会での法案は衆院と参院でそれぞれ賛成多数で決議しなければ成立しない。与野党はこれまで参院で過半数を得るために、タレント議員を増やすなど躍起になってきた。ところが、予算案など重要案件で衆院と参院で判断が分かれた場合、衆院の判断が優先する。いわゆる「衆院の優越」だ。

   出た話の中で「ならば、はたして参院は必要なのか」と。議会制民主主義は国家の基本なのだが、「参院無用」論が飛び出した。「いやいや、腹の底ではそう思っている連中(有権者)も多いよ。オレもその一人」と先の知人。

   7月10日にも投開票が見込まれる参院選。2016年に改正公選法が施行され、選挙権年齢は20歳から18歳以上に引き下げられた。あれから6年、日本の選挙に若者の息吹は感じられるか。先の知人は「親も行かない選挙に子が行くか」とまたもや冷めた言葉が。茶飲み話はここで終了となった。

⇒25日(月)夜・金沢の天気     はれ


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