自在コラム

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☆東京一極集中を問う都知事選が面白い

2016年07月08日 | ⇒トピック往来
   参院選も最終版、きょうは「最後のお願い」の日だ。ところが、ここにきて、東京都知事選(14日告示、31日投開票)の動きが俄然面白くなってきた。

  昨日8日午後には、俳優の石田純一氏が記者会見した。「普通の市民と政治がかけ離れている。野党統一候補なら、思いを力に変換できる」と野党各党に統一候補になることを条件に出馬表明した。タレントだけに、すでに出演しているテレビCMのスポンサーとの調整も進めているという。その会見の様子を民放テレビが中継していたが、面白かったは靴だった。上下黒のスーツにネクタイ、しかし素足に革靴という異例の足回り。条件付き出馬表明も突厥なら、そのいでたちもバランスを欠く。今の言葉でいえば、エッジが効いたいでたちなのだが。

  自民党では小池百合子氏は党の推薦が得られなくて出馬するという。昨日8日の日本外国特派員協会の記者会見でも「有権者に選んでいただくのは、自民党のアベノミクス一丁目一番地は女性の活躍なので、自信を持って手を挙げた」と。小池氏は英語が堪能らしい。そこで、2020年のオリンピックでは適材と一部で評価する向きもあるが、それでよいのか。東京都が抱える問題は、待機児童問題一つをとっても多難で根が深い。東京の問題点を分析して政策としてまとめて、都民に問うというスタンスならばそれでよいが、そのスタンスがまったく読めない。

  このままでは、政策論議よりも、人気度や知名度が勝敗を左右する「劇場型選挙」になるのではないかと想像していた。ところが、冒頭で「がぜん面白くなってきた」と述べたのは、元岩手県知事、元総務大臣の増田寛也氏が都議会自民党などの要請で、出馬が濃厚になってきたからだ。

  きょう9日付の新聞各紙は増田氏が選挙明けの11日に正式に出馬表明するという。増田氏といえば、「このままでは896の自治体が消滅しかねない。若者が子育て環境の悪い東京圏へ移動し続け、人口減少社会に突入する」(『地方消滅~東京一極集中が招く人口急減』(中公新書)と言い続ける東京一極集中の是正論者でもある。実際の政策では、増田氏が総務大臣だった2007年、東京都の法人事業税の一部を国税に回し、地方に再配分できるように税制を改定。それ以降、都の予算が地方に回され、その額はこの9年間で1兆5千億円とする試算もある。

  こうした東京一極集中の是正論者を東京都民はどう評価を下すのか、あるいは増田氏はどのような新たな政策を打ち出して地方と東京がともに反映するバランス論を展開するのか、これが見ものだ。地域問題に取り組む地方の人たちにとってもなじみの深い人物だけあって、増田氏が出馬する今回の都知事には関心を寄せる人も多いことだろう。興味深い展開になってきた。

⇒9日(土)朝・金沢の天気   あめ
  




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