台湾の総統選挙は直接投票で、民意が反映される選挙だ。報道によると、11日に投開票が実施された総統選で、現職で与党、民進党の蔡英文氏が817万票、高雄市長で最大野党、国民党の韓国瑜氏が552万票、大差で蔡氏が再選された。投票率は74.9%と高い。単純に比較はできないが、昨年11月24日、民主派が圧勝した香港区議会(地方議会)選挙の投票率は71.2%だったので、今回総統選に対する関心の高さがうかがえる。
台湾の民意は、中国との統一を拒否する蔡英文氏に大きく傾いたことになる。その蔡氏がツイッターで日本に対してメッセージを寄せている(11日付、日本語)=写真=。「再び総統としての重責を託されたのは、国民が私にこれまで以上にリーダーシップを発揮し、未来を見据えた政策を実践することで、台湾をさらに邁進させたいからだとおもいます。 そのため、国民の声に謙虚に向き合い、不動の心で困難を乗り越え、そして、同様に台日の絆を深めていきたいです!」
このツイッターを読んで、表現は適切ではないかもしれないが、「地雷原に踏み込んだのでは」と直感した。では、誰が地雷原に踏み込んだのか。
蔡氏のツイッターはおそらく茂木外務大臣の談話に応えたものものだろう。「台湾の総統選挙において蔡英文氏が再選されました。民主的な選挙の円滑な実施と同氏の再選に祝意を表します。台湾は我が国にとって、基本的な価値観を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナーであり、大切な友人です。政府としては、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくとの立場を踏まえ、日台間の協力と交流の更なる深化を図っていく考えです」(11日付・外務省ホームページ)
すると中国は茂木談話にクレームをつけてきた。中国外務省の耿爽副報道局長は「台湾の選挙は中国の一地方の問題だ。関係国は『一つの中国』原則に違反しており、強烈な不満と断固反対を表明する」としたうえで、「台湾問題は中国の核心的利益だ。台湾の独立勢力に誤った信号を送らないよう求める」と中国外務省ホームページでコメントした(12日付・朝日新聞Web版)。
日本政府は今春に中国の習近平国家主席を国賓として迎える方針を崩していない。中国公船による尖閣への領海侵入や中国当局による日本人の拘束、香港やウイグル、チベットでの人権問題があっても、だ。だが、今回の台湾総統選の日本側の対応で、中国側がキャンセルを入れてくる可能性もある。そうなると今後の日中関係に再び亀裂が走るかもしれない。
中国は台湾との「一国二制度」での統一に向けて圧力路線を継続するだろう。 昨年11月18日、中国初の国産空母が台湾海峡を通過して、台湾に対する威嚇行動ではないかとニュースになった。今回の総統選の結果から、再び空母が、それも艦隊を組んで海峡に現れるかもしれない。そうなるとアメリカ海軍の第7艦隊の動きはどうなるのか。台湾総統選の余波が気になる。
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