自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★感動シーンを創る「役者」たち 舞台はヒロシマ

2023年05月19日 | ⇒ニュース走査

   G7の各国首脳らが広島市の原爆慰霊碑で一列に並んで花を手向け、記念の植樹をする様子をNHKの生中継で視ていた。ロシアがウクライナへの侵攻を続け、核兵器で威嚇するような発言を繰り返してしている現状なので、格好のタイミングだったかもしれない。ただ、感動的だったかというと、やはり2016年5月の「G7伊勢志摩サミット」後に被爆地ヒロシマの原爆慰霊碑を訪れたアメリカのオバマ大統領が被爆者を抱き寄せたあのシーンには及ばない=写真・上=。

   感動的なあのシーンには背景があった。2009年4月、プラハでの演説でオバマ大統領は「核兵器なき世界」を提唱し、ノーベル平和賞を受賞した。唯一の戦争被爆地の訪問は7年の歳月を経て、しかも、大統領任期の最終年でようやく実現したのだった。現職の大統領の広島訪問の実現はアメリカ世論では難しいとされていたが、それを乗り切った経緯もあったので、感動は深いものになった。

   今回はそれほど感動的ではなかったとは言え、G7の各国首脳が初めてそろってヒロシマを訪れ、原爆慰霊碑に花を手向けるシーンは海外メディアを通じて流れ、国際社会に向けて核兵器による惨禍を二度と起こさないという強いメッセージとなったことは間違いない=写真・下、NHK中継番組より=。オバマ大統領のヒロシマ訪問は当時の安倍総理(外務大臣は岸田氏)の、今回のG7各国首脳の訪問は岸田総理の功績と言える。

   そして、テレビメディアでニュース速報が飛び交った。ウクライナのゼレンスキー大統領がG7広島サミットに出席する、というのだ。対面出席の日程などはまだ明らかにされていない。

   サミットではきょう午後、ウクライナ情勢をテーマにした討議が行われ、議論の成果をまとめた声明を発表した。ロシアによるウクライナ侵攻は不当で、国連憲章違反の侵略戦争であると非難、ロシアに対してすべての軍を即時、かつ無条件に撤退させるよう求め、永続的な平和の実現はロシア軍の撤退なしには実現できないと強調した(NHKニュースWeb版)。ゼレンスキー大統領の来日はG7との強い連帯を求める意思表明なのだろう。前回のヒロシマでの役者はオバマ、そして今回の役者がいよいよ登場する。歴史に残るサミットになるかもしれない。

☜19日(金)夜・金沢の天気   くもり時々はれ


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