高校時代からの友人が「この上なく訴求力のある、すごい意見広告」とメールで送ってくれたのが、きのう24日付の読売新聞で掲載された、出版会社「宝島社」の見開きの全面広告の画像だった=写真・上=。確かに、インパクトのあるメッセージだ。「世界を敵にまわして、生き残ったヤツはいない。」
図柄は麦畑の上は青空なので、ウクライナの国旗をイメージしている。ということは、ウクライナ侵攻で世界から非難を浴びているロシアのプーチン大統領に向けたメッセージと読める。人類は、いつまで同じ過ちを繰り返すのか、早期の戦争終結を訴えている。国連軍縮週間(10月24-30日)に合わせたメッセージ広告でもある。
宝島社の見開き広告はこのほかにも印象深いものがある。2021年5月21日付は、「ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戦えというのか。このままじゃ、政治に殺される。」=写真・中=。戦時下の子どもたちの竹槍訓練の写真の真ん中に赤いウイルスがある。見ようによっては、国旗の日の丸の部分がウイルスになっている。
キャッチコピーの下にある趣旨説明には、「この一年は、いったい何だったのか。いつまで自粛をすればいいのか。我慢大会は、もう終わりにして欲しい。ごちゃごちゃ言い訳するな。無理を強いるだけで、なにひとつ変わらないではないか」と、当時の菅政権への強烈な批判だった。
2019年1月7日付は「敵は、嘘。」(読売新聞)と「嘘つきは、戦争の始まり。」(朝日新聞)の2パターンあった=写真・下=。
「敵は、嘘。」はデザインがイタリア・ローマにある石彫刻『真実の口』だ。嘘つきが手を口に入れると手が抜けなくなるという伝説がある。「いい年した大人が嘘をつき、謝罪して、居直って恥ずかしくないのか。この負の連鎖はきっと私たちをとんでもない場所へ連れてゆく。嘘に慣れるな、嘘を止めろ、今年、嘘をやっつけろ。」と解説があった。当時国会で追及されていた森友・加計問題のことを指していた。
そして、「嘘つきは、戦争の始まり。」のデザインは湾岸戦争(1991年)のとき世界に広がった、重油にまみれた水鳥の画像だった。当時は、イラクのサダム・フセインがわざと油田の油を海に放出し、環境破壊で海の生物が犠牲になっていると報じられていた。この広告の掲載のときは、アメリカ大統領のトランプ氏が2017年の就任時からメディアに対して「フェイクニュース」を連発していた。為政者こそ軽々しく嘘をつくな、というメッセージだった。
企業広告とは言え、読者の目線で気持ちを代弁するメッセージの数々に喝采を送りたい。
⇒25日(火)夜・金沢の天気 くもり
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