自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆中秋の名月なれど、世に暗雲漂う

2020年10月01日 | ⇒メディア時評

   今夜は「中秋の名月」を雲の切れ間から見ることができた=撮影:午後6時35分=。名月をめでることができる幸福感はこの上ない。というのも、北陸は天候が変りやすく名月を拝めないことがままあるからだ。芭蕉の句がある。「名月や北国日和定なき」(『奥の細道』)。今夜は中秋の名月を期待していたけれど、あいにく雨で拝むことができなかった。本当に北国の天気は変わりやすい。福井・敦賀で詠んだ句とされる。

   中秋の名月は時代劇のドラマでよく使われるカットだ。大事件、裏切り、画策、謀反、旗揚げなど大きな出来事の前触れのシーンなどで、犬の鳴き声、ススキの穂とともに名月が浮かんで出てくる。今の時代もそう変わりない。

   東京証券取引所できょうシステムトラブルが起こり、終日すべての株式の取引が停止した。午前中にこのニュースを知って、ハッカーの仕業かと疑ったが、そうではないらしい。取引所ではシステムトラブルに対応するためにバックアップシステムを備えていたようだが、なぜバックアップに切り替えることができなかったのか、解明してほしい。あす(2日)は午前9時から通常通り売買を行う見込みのようだが、原因が分からない、バックアップシステムが機能しない証券取引所に誰が信頼を置くだろうか。東京は国際金融都市を目指しているが、シンガポールに取引の拠点を移す投資家が続出するのではないだろうか。日本の沽券(こけん)にかかわる問題だろう。

           日銀金沢支店がきょう発表した短観(公式ホームページ)によると、北陸の経済見通しがよくない。北陸の334社の回答によると、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた指数は、「全産業」の数値でマイナス37ポイントだった。マイナスは4期連続。前回6月調査のマイナス39ポイントよりいくぶん改善しているものの、企業の景気判断はきびしい状態が続いている。

   アメリカ大統領選挙に向けたトランプ大統領とバイデン氏のテレビ討論会(9月29日)を視聴したが、トランプ氏がバイデン氏や司会者の発言を何度も遮って持論を主張していた。そのたびに、司会者が「ルールを守ってください」と発言を制止するシーンがあった。一方のバイデン氏も相手を「うそつき」や「最悪の大統領」と述べて、討論会どころか非難や中傷の合戦だった。子どもたちには決して見せたくない、荒れた討論会だった。これが民主主義の総本山とされるアメリカの現実なのだろうか。情けない思いがしてリモコンをオフにした。

   香港ではきょう、中国の建国記念日にあたる国慶節に合わせて、民主派の団体が毎年行っているデモ行進を計画したが、警察は新型コロナウイルスの感染防止を理由に認めなかった。しかし、SNSなどで中国や香港の政府に対する抗議活動が各地で呼びかけられ、このうち香港島の中心部では多くの人が集まり「香港の独立を」「香港の自由を守ろう」などと声を上げた(10月1日付・NHKニュースWeb版)。戦いをあきらめない人々も今夜の中秋の名月を眺めているだろうか。

⇒1日(木)夜・金沢の天気    はれ


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ★こんな「ノーベル賞」を上げ... | トップ | ★トランプ大統領、コロナショ... »

コメントを投稿

⇒メディア時評」カテゴリの最新記事