自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★こんな「ノーベル賞」を上げたい2人

2020年09月30日 | ⇒トレンド探査

   「ノーベル賞」という言葉がメディアで目立ってきた。10月はノーベル賞の季節でもある。ノーベル財団の公式ホームページによると、10月5日に医学生理学賞を発表し、その後、物理学賞、化学賞、文学賞、平和賞と順次発表。12日の経済学賞をもって終える。 今年の授賞式は、新型コロナウイルスの影響でリモート形式のようだ。毎年気になるノーベル賞だが、もし、このようなノーベル賞があったらと想定して、自身が贈りたい人物を思い描いてみる。

   もし、「ノーベル環境賞」があるとすれば、あげたい人物は17歳の環境活動家、スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんだ。なんと言ってもパンチの効いたスピーチが心に響く。「You have stolen my dreams and my childhood with your empty words. And yet I’m one of the lucky ones. People are suffering. People are dying. Entire ecosystems are collapsing.」(あなたたちは空虚な言葉で、私の夢を、私の子ども時代を奪った。それでも、私は幸運な者の1人だ。人々は苦しんでいる。人々は死んでいる。生態系全体が崩壊している)=国連気候アクション・サミット2019(9月23日)でのスピーチから引用。

         地球温暖化対策に本気で取り組んでいない大人たちを叱責するメッセージだ。「私たちが地球の未来を生き抜くためには温暖化対策が必要なんです」と必死の叫び声が聞こえる。(※写真は、2019年9月21日に国連本部で開かれた「若者気候サミット」で温暖化対策を訴えるグレタさん(右)。左はグテレス事務総長=国連「Climate Action Summit 2019」公式ホームページより)

   もし、「ノーベル民主活動賞」があるとすれば、あげたい人物は、香港国家安全維持法の違反容疑でことし8月に逮捕され、保釈された民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)さんだ。周さんは保釈後、日本のメディアに対し、香港警察から証拠の提示もなく、パスポートも押収され、「なぜ逮捕されたのか分からない」と流暢な日本語で答えていた。そして、拘束中に「欅坂46」のヒット曲『不協和音』の歌詞が頭の中に浮かんでいたという。

   『不協和音』には「絶対沈黙しない」「最後の最後まで抵抗し続ける」などの歌詞があり、民主活動家としての彼女の心の支えになったのだろうか。2014年のデモ「雨傘運動」に初めて参加してから、今回含めて4回目の逮捕だ。

   周さんは保釈後、「ユーチューブ」で動画を配信している。「釋放後Live!憶述警察爆門拘捕過程」のタイトルで逮捕について述べ、この中で3分間ほど日本語で語りかけている。「心の準備ができていないまま逮捕され本当に不安で怖かった。国家安全維持法では起訴後の保釈は認められていないため、このまま収監されてしまうのではないかと怖かった」「2台のパソコンと3台のスマホが没収された」と当時の状況を述べている。最後に「日本の皆さんも引き続き香港のことに注目してほしい」と呼びかけている。

    彼女の言葉には矜持を感じる。中国政府に対する葛藤、23歳にして香港という自らの居場所を死守するために戦い続ける勇ましさだ。

⇒30日(水)夜・金沢の天気     くもり


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