青森県から秋田県にまたがる白神山地(2013年「ユネスコ世界自然遺産」登録)で活動しているNPO法人の知人から年賀状をいただいているので、このニュースが気になった。読売新聞Web版(27日付)によると、秋田県藤里町巨大ブナ「400年ブナ」が倒れたことが分かった。400年ブナは、樹高26㍍、幹の周囲4.85㍍メートルで、国有林にある巨木を集めた林野庁の「森の巨人たち百選」に選ばれている。ブナの寿命は250年程度とされる中、推定樹齢は400年を超えており、白神山地の秋田県側のシンボル的な存在だった=写真、東北森林管理局公式ホームページ「森の巨人たち百選」より=。
秋田白神ガイド協会びスタッフによると、1999年の台風で大枝が折れて以降、樹勢が衰えていったという。今冬の大雪による被害を心配して今月21日朝に現地に到着したが、ブナの木が見つからず、あたりは雪に覆われていた。根元から折れたとみられるという(同)。東北森林管理局も「令和4年3月に倒伏したのではないかとの情報が寄せられたことから、今後、雪解けを待って現地を確認に行く予定です」(同公式ホームページ)と記している。
20年ほど前に白神山地を訪れたことはあるが、このシンボル的なブナの木にはお目にかかれなかった。ニュースで知って、少々悔やんでいる。以下は自身の発想だ。根元の直径は2㍍前後、それが根元から倒れているとなれば、まさに「森の巨人」が横たわっているというイメージではないだろうか。ぜひそのままにしておいてはどうだろうか。
2008年5月にドイツのシュバルツバルトの森を見学した。驚いたのは、1999年のクリスマスにやってきた嵐で膨大な森林被害が起きて、その一部が記念公園となっていた。そのときにガイド氏に質問をした。根こそぎ倒れ荒廃した森林を公園として見せる価値はあるのか、と。ガイド氏はニッコリとこう答えた。「幸いキクイムシの2次被害はいまのところ出ていない。それより、倒れた木の間に若い木が伸びてきているでしょう。私たちは森の自然の治癒力というものを子供たちに学んでほしいと思いこの一角を保存したのです」と。確かに倒木した針葉樹や広葉樹の折れた根元から若木が育っている。倒木の根に巣をかけた鳥たちのさえずりもにぎやかだった。
白神山地のブナの老木にひこばえ(萌芽更新)ができるかどうかは分からないが、樹木の天命を終えて大地に横たわった姿をぜひ拝んでみたいと願う。そして、自然を生き抜く樹木を子どもたちへの環境教育の場として生かしてはどうだろうか。そのような話を冒頭のNPOの知人と交わしてみたいと思っている。
⇒28日(月)午後・金沢の天気 はれ
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