きのう午前中、鹿児島県大隅半島を震源とするマグニチュード5.1の地震があり、宮崎県日南市で震度5弱の揺れがあった。そして、午後10時29分に能登半島の尖端を震源とするM4.1の揺れがあり、珠洲市では震度3だった。元日の地震から100日目のきょう、能登半島では震度2から1の地震が6回もあった。不気味な日々が続いている。
輪島の海岸線に沿った国道249号を走り、国の名勝「白米千枚田」の棚田を眺める。次に断崖絶壁の曽々木海岸を見ようと、国道を東方向に走らせる。本来ならば、あの勇壮な御陣乗太鼓の発祥地として知られる名舟町の海岸沿いを通過するのだが、地震で地滑りが起きていて、国道が寸断されている=写真・上=。結局、輪島市街地へ引き返すことになる。
現場は山の中腹からの大規模な崩落であり、従来の道路の土砂を取り除くだけでは復旧は難しいだろう。この国道249号は能登半島の観光ルートでもあり、復旧・復興に携わる国土交通省とすれば、なんとか車の往来を復活させたいと考えたのかもしれない。そこで、浮かんだのが逆転の発想だった。
きょう付の地元紙・北國新聞によると、国交省復興事務所は土砂崩れで寸断された国道の海側が隆起していることに着目し、海側の地盤を活用して道路を新設する。新しい道路の延長は800㍍で、うち海側430㍍で幅6㍍の2車線。山と海の両サイドに高さ3㍍の土嚢を積んで山からの崩落と高波の影響を防ぐ、としている。新たな道路は5月のゴールデンウィーク(GW)をめどに供用を開始する。
簡単に言えば、地震で隆起した海側の地盤は陸になった=写真・下=。だったら道路として使おうという逆転の発想だろろ。もし、海のままだったら漁業権などが絡んで易々と事は運ばない。記事を読んでの前向きな感想は、山の崩落現場を眺めながら海道を走行する、じつにダイナミックなスポットではないだろうか。すぐ近くにある千枚田は1684年に起きたと言い伝えのある地滑り地帯で、人々が200年かけて再生した歴史がある。まさに災害史が刻まれた能登のスポットだ。
素人考えだが懸念もある。日本海の冬の風や波は想像がつかないほど荒れることがある。海沿いの民家では、「間垣(まがき)」と呼ぶ長さ3㍍ほどの細い竹「ニガダケ」を隙間なく並べた垣根を造り、吹き付ける冬の強風に備えている。新しい道路には3㍍の土嚢を積む計画だが、強固なコンクリート壁の方がトライバーも安心できるのはないだろうか。
⇒9日(火)夜・金沢の天気 くもり時々あめ
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