今月24日に投開票の参院石川選挙区の補欠選挙は選挙戦も終盤に入り、各候補者の訴えもボルテージが上がってきた。立候補しているのは自民党の宮本周司氏、立憲民主党の小山田経子氏、共産党の西村祐士氏、NHK受信料を支払わない国民を守る党の齊藤健一郎氏の4氏。きのう日曜日は岸田総理ほか、立民の泉代表や共産の市田副委員長、N党の立花党首らそうそうたるメンバーが応援に駆け付けたと地元メディア各社が報じている。
ニュース番組で流れた4人の党首らの演説で異様だったのは立花氏だった。「彼(齊藤候補)は立候補しているが選挙活動は一切しません。みんな選挙に行かなくていいです。もっと言うと齊藤候補に入れなくていいです。今回なぜ齊藤氏が立候補したかというと練習です。2ヵ月後に選挙(参院選)があるのでポスターをどれだけの人に貼ってもらえるのか、政見放送をどんな形でできるのかといった練習なので(投票に)行かなくていいです」(17日付・石川テレビ)。まるで「石川の選挙は来る参院選の練習、供託金300万円は授業料」と言わんばかりの自虐的なコメントだった。映像で見る限り、会場にはそこそこ人は集まってもいた。
岸田総理の動きはまるで「能登・金沢・加賀」の縦断ツアーのような日程だった。朝日新聞の「首相動静(17日)」によると、午前9時5分に羽田空港発、同46分に能登空港着。10時3分、輪島市の「里山まるごとホテル」のレストラン「茅葺庵 三井の里」で地元企業関係者らと意見交換。11時56分、七尾市の公園「湯っ足りパーク」前で街頭演説。午後0時49分、道の駅「能登食祭市場」を視察。1時7分、市内の印鑰(いんにゃく)神社で祭りの山車「でか山」の制作風景を見学。同18分にすし店「松乃鮨」で、西田自民党衆院議員らと食事。同47分、報道各社のインタビュー。2時32分、かほく市の「のと里山海道高松サービスエリア」で休憩。以上が能登での動き。
さらに、午後3時12分、金沢市の「いしかわ四高記念館」前で街頭演説。4時31分、能美市の根上総合文化会館前で街頭演説。5時16分、小松市のうどん店「中佐中店城南店」で佐々木同党衆院議員と食事。5時53分に小松空港に到着。宮橋小松市長らと。6時25分、同空港発。7時14分、羽田空港着。
時間の配分を見ると、能登では輪島と七尾で4時間も費やしている。ちなみに金沢は1時間、加賀は2時間。以下憶測だ。能登での遊説は、補選の応援もさることながら、先の知事選(3月13日)の「後遺症」を払拭する狙いもあったのかもしれない。知事選では能登地区の国会議員、首長、JAやJFなど団体が馳浩氏と対抗した山田修路氏を支援した。岸田総理ほか自民の幹部は馳氏の応援に駆け付けた。党を巻き込んだ保守分裂選挙だった。今回の補選を機にその分裂の溝を埋めたいと、あえて能登での時間配分を考慮したのではないだろうか。
地元紙によると、岸田氏は輪島の古民家で囲炉裏を囲み車座で地域の人たちと語り、七尾の神社では祭りの準備をする若い衆の木遣り歌で出迎えられ、すし店では七尾湾特産のトリガイなど11貫に舌鼓を打った(18日付・北國新聞)とある。この心憎いほど内容の濃い「能登時間」を演出したのは誰か、むしろその人物の方が気になった。
⇒18日(月)午後・金沢の天気 くもり
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