北朝鮮が弾道ミサイルを発射するたびにこのブログで取り上げている。だから分かることがある。この10日間で5回(9月25日、28日、29日、10月1日、4日)合計8発、これほど頻繁な発射はある意味で異常な事態だ。この国は何を企んでいるのか。
防衛省公式サイトによると、北朝鮮はきょう4日午前7時22分ごろ、北朝鮮内陸部から東に向けて弾道ミサイル1発を発射した。同28分から29分ごろに青森県上空を通過した後、同44分ごろに太平洋上の日本のEEZの外に落下した。最高高度は1000㌔、飛翔距離は4600㌔と推定される。日本政府は、Jアラート(全国瞬時警報システム)で、北海道と青森を対象に警戒を呼びかけた。
日本列島の上空を通る弾道ミサイルを発射したのは、2017年9月15日以来となる。このとき発射されたのは、北朝鮮が「火星12」と称していた中距離弾道ミサイルで、北海道の襟裳岬の上空を通り、飛翔距離は3700㌔だった。同年8月29日に発射した中距離弾道ミサイルもほぼ同じ北海道上空を通る飛行コースだった。憶測だが、北朝鮮は東北地方から北海道の上空を中距離弾道ミサイルの「発射実験ル-ト」として設定しているのではないか。航空機や船舶はもとより、上空を弾道ミサイルが通過したと判断される地域の安全確保の観点からも極めて問題のある行為だ。
いったい何を想定して今回、中距離弾道ミサイルを発射したのか。飛翔距離は4600㌔だ。距離としてはこれまでの弾道ミサイルで最長と言える(防衛省資料「北朝鮮による核・弾道ミサイル開発について」より推定)。この射程内には、アメリカ軍のアジア太平洋地域の戦略拠点であるグアムがすっぽりと入る。核弾頭が搭載でき高いステルス性能を持つB2戦略爆撃機などが展開するアンダーセン基地がある。
さらに、北朝鮮にとっては、中距離弾道ミサイルと核実験はセットとも言える。別の言い方をすれば、「車の両輪」である。2017年9月15日の中距離弾道ミサイル発射の前の同月3日に6回目となる核実験を豊渓里(プンゲリ)で行っている。このとき、北朝鮮は「ICBMに搭載可能な水爆実験に成功」と発表している。推測の域を出ないが、今回も核実験が伴うのではないか。
ここ10日間で、迎撃が困難とされる変則軌道の短距離弾道ミサイル、そして4600㌔という最長距離の中距離弾道ミサイルを発射させた。今後の展開はICBMなのかと憶測する。ことし3月24日に新しいICBM「火星17型」の発射させ、「実験は成功した」と公表している。このときは、最高高度は6248.5㌔に達し、1090㌔の距離を67分32秒飛行した。角度を変えて発射すれば1万5000㌔を超える射程距離となり、アメリカの東海岸を含む全土が射程内に入る(当時の岸防衛大臣の会見)。北朝鮮による挑発のレベルが高まっている。
(※写真・上は過去の中距離弾道ミサイルの発射、写真・中は今回の推定される飛行ルート、写真・下は北朝鮮の弾道ミサイルの射程=出典は防衛省資料「北朝鮮による核・弾道ミサイル開発について」ほか)
⇒4日(火)午後・金沢の天気 くもり
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