それにしても考えてしまう。日付を予告していたにもかかわらず、なぜ予告を無視するのか。防衛省公式サイト(22日付)によると、北朝鮮は21日午後10時43分、北朝鮮北西部沿岸地域の東倉里(トンチャンリ)地区から、衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を強行した。発射された1発は複数に分離し、1つ目は午後10時50分、朝鮮半島の西約350㌔の東シナ海上の予告落下区域外に落下、2つ目は沖縄本島と宮古島との間の上空を通過し、同57分に沖ノ鳥島の南西約1200㌔の太平洋上、予告落下区域内に落下したものと推定される。地球周回軌道への衛星の投入は確認されていない。(※写真・上は、22日付の北朝鮮の労働新聞Web版より)
北朝鮮の弾道ミサイルの発射でとくに混乱したのは沖縄県の人たちだった。自身はテレビのニュース速報を視聴していたが、ミサイルが上空を通過し、Jアラート(全国瞬時警報システム)が発令され、サイレンとともに防災無線で避難を呼びかける放送が繰り返されていた。深夜に登庁した自治体の職員が被害など備えて対応に追われる様子が映し出されていた=写真・中、テレビ朝日「報道ステーション」より=。
北朝鮮はことし8月24日にもトンチャンリ地区から、弾道ミサイル技術を使用した偵察衛星の発射を強行したが、防衛省は地球周回軌道への衛星の投入を確認していない。ことし5月31日にも衛星を打ち上げたが、エンジン異常で墜落。3回目となる今回も衛星打ち上げは失敗したとみられる。ところが、冒頭の労働新聞は、軍事偵察衛星「万里鏡1号」を搭載した新型運搬ロケット「千里馬1型」を打ち上げ、「偵察衛星の発射に成功」と報じている。
そもそも、弾道ミサイル技術を用いたロケットの打ち上げは国連安保理事会決議に違反していることから、日米韓は共同で中止を要求していた。冒頭の話に戻るが、北朝鮮は22日以降に人工衛星を打ち上げると海上保安庁に通告していたので、期間前に強行したことになる。今回の発射は日米韓の意表を突く作戦なのだろうか。そして、ことし3回目の発射がまた失敗となると、国民の不満が沸騰するのであえて「成功」と言いくるめているのだろうか。
深読みする。北朝鮮の金総書記はことし9月13日(日本時間)にロシアの「ボストーチヌイ宇宙基地」を訪れ、ロケットの組み立てや発射施設などを視察した。この場での首脳会談でプーチン大統領は、衛星の開発を支援する意思を明確に示した=写真・下、同日付・BBCニュースWeb版=。支援を受けた今回の発射でなんらかの進展があったのかもしれない。それをあえて金総書記は「成功」と賞し、次なる発射へとモチベーションを高めているのかもしれない。
⇒22日(水)午前・金沢の天気 はれ
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