来年に延期された東京オリンピックの準備状況を確認するIOCの調整委員会がきのう24日から2日間の日程で始まり、バッハ会長は「協力すれば必ず実行でき、歴史的な大会になる」と述べ、大会の開催へ強い意欲を示した、と報道されている(9月24日付・NHKニュースWeb版)。このニュースでホッと胸をなでおろしてる業界の一つは、新聞・テレビのマスメディア各社ではないだろうか。オリンピックなどのビッグイベントは広告スポンサーの稼ぎ時であり、新聞社は部数を増やすチャンスでもある。 先日、購読している新聞に「購読料改定のお願い」のタイトルでペーパーがはさんであった=写真=。趣旨は簡単に言えば、値上げである。10月1日から「朝夕刊(月ぎめ)4350円(税込み)、朝刊(月ぎめ)3300円(税込み)」となる。我が家では朝刊のみで、毎月2988円を払っているので、来月から312円、10%余りの値上げということになる。1日10円の値上がりでもある。
本文を読んでみる。「購読料の改訂は、消費税の引き上げ分を除き1994年(平成6年)2月以降、26年8ヵ月ぶりとなります。この間、様々な経営努力を重ねて本体価格を据え置いてまいりましたが、新聞製作に関わる経費と流通経費は上昇し、新聞発行並びに戸別配達を維持することが大変厳しい状況となっております。新型コロナの影響が見通せない中で、ご愛読いただいている皆様にご負担をおかけすることは大変心苦しい限りです」
率直な感想として、26年8ヵ月ぶりということならば、いたしかたないのかなとも思う。また、毎日の戸別配達には確かに労務管理コストが相当かかるだろう。この文を読んで、かなり以前から値上げのタイミングを検討していていたのだろうと察した。おそらく、消費税増税(2019年10月)の前後は避けて、東京オリンピックを前に値上げのタイミングと見込んでいたのではないだろうか。おそらく、4月1日ではなかったか。ところが、WHOが3月11日に新型コロナウイルスが世界的に感染拡大しているとする「パンデミック宣言」と発表した。これをうけて、同月24日には東京オリンピックの開催が来年に延期となり、値上げのタイミングを逸してしまった。
一方で、コロナ禍で経済減速が今後さらに鮮明になってくると、値上げのタイミングはさらに難しくなるので今のうちに、と。そう判断し、当初予定の半年遅れ、10月1日に値上げに踏み切った、のではないだろうか。あくまでも憶測だ。
コロナ禍では、新聞各紙が値上げに踏み切るかどうか、判断が分かれている。ある全国紙の関係者から聞いた話では、コロナ禍で宿泊客が急減し、客室に新聞をサービスしてきたホテルなどが新聞の購入を一斉に止めた。ホテルだけでなく、病院や公民館、図書館、事業所などもそうだ。しかも、客が戻りつつあっても再講読のオーダーはほとんどない。一般家庭でも購読が急減している。コロナ禍での値上げは「このきびしい現実の中で、購読中止の口実になってしまう」と警戒する。「3年後、4年後に新聞社そのものも急減するのではないか」とも。単なる値上げの話ではない。いまそこにある危機でもある。
⇒25日(金)朝・金沢の天気 くもり
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