昨年は、今頃から年末にかけてレナード彗星が明るくなり、天文ファンの間で話題になりましたが、
今年は特に目立った彗星の出現はなく、師走を迎えようとしています。
で、来年に期待できそうな彗星を調べてみたら、1月から2月に少し楽しみなものが1つありました。
今年の3月初めに発見されたZTF彗星(C/2022 E3)という名前の新彗星です。
ZTFは"Zwicky Transient Facility"の略称で、米・カリフォルニア州にあるパロマー山天文台の
天体観測設備/プロジェクトの名称になります。Zwickyは20世紀に活躍した天文学者の名前です。
軌道計算結果から来年2月初旬に地球へ0.29AUまで接近することが分かっており、1AU(天文単位)は
太陽-地球間の平均距離である約1.5億kmですので、換算すると4350万kmまで近づくことになります。
これは金星が地球に最も近づいた時の距離と同等なんですけど、サイズ的には小さな天体ですし、
地球の公転軌道の外側における接近なので、金星と同じ明るさになることはまずないでしょう。
ちなみに来年の1月12日に近日点通過(太陽最接近)を迎えますが、接近距離は1.11AUと遠めです。
見頃となるのは、月明りの影響を考慮すると1月下旬くらいになりそうです。
で、1/30の未明における見え方は下のとおり。
AstroArts社ステラナビゲータによるシミュレーション(数値の1/10が予想光度)
北半球での観測条件が良好で、観測好期には北極星の近くに位置し、一晩中沈まない状況になります。
最大光度は5等台後半の予想になっており、空の暗い場所でも肉眼で見るのは困難とみられますが、
写真では尾を伸ばした姿を捉えられるかもしれません。
以上、鬼が笑いそうな来年の話でした。