水郷を回るサイクリングロードを快走。湖を回る道に坂はなく、楽に走れます。雲ひとつない空は建物に遮られることもなく広がり、吹き抜ける自由な風が自転車を追い越していきます。
このサイクリングロードにはよし笛ロードという名前が付いています。その名のとおり、湖にはヨシ原が広がり、岸から手を触れられるほど近くまで密生しています。ヨシは12月に刈り取り、乾燥させていろいろな製品を作るんだと、自転車にまたがったおじいさんが教えてくれました。
陸側に目を転じると、水田は田植えの真っ最中。植えられたばかりの苗が並ぶ田んぼのすぐ近くでは、トラクターが代かきをしています。
麦畑では青くふくよかな穂が、空に向かって長いヒゲを突き立てています。収穫の時期が着実に近づいているようです。
てっきりよし笛ロードは琵琶湖 (びわこ) を回っているのだと思っていましたが、実際には琵琶湖ではなく、琵琶湖につながった西の湖 (にしのこ) を周回していました。琵琶湖には、西の湖のほかにも小さな湖がたくさんつながっています。小さな湖が大きな琵琶湖にぶらさがる姿は、まるでメスに食らいついたオスのチョウチンアンコウ*。この小さな湖を内湖 (ないこ) というそうです。
昔から多くの内湖が干拓されて農地に転用されてきましたが、西の湖は今でも残る最大の内湖です。
西の湖のヨシ原からはいろいろな声が聞こえてきます。クェクェクェと軽やかに声を弾ませるものもいれば、グワーッ、グワーッと重低音を響かせるものもいます。姿は見えませんが、カエルの鳴き声でしょうか。水鳥の鳴き声も混じっているかもしれません。
ヨシ原にはたくさんの命が息づいています。
ホー…、ホケキョ!
ホトトギスまでいるのか。
よし笛ロードは全長26.6km。道路は舗装され、走り心地は快適です。私が走った区間はすべて陸上トラックのような赤茶色に舗装されていたので、その赤茶色の舗装路に従って走れば道に迷うことはありません。所々に車止めが設置されていて車が入ってくることもなく、安心して走れます。コースは平坦 (へいたん) なので、普通の人なら無理なく1周できるでしょう。
赤茶色に舗装された道路の様子 (5月8日の記事から再掲)
残念ながら、今回は途中で折り返して帰ってきました。走り始めたのが夕方でしたし、走行ルートも1周の距離も知らずに気まぐれにコースに入ったので、適当なところで切り上げるしかありません。帰宅後に地図で調べてみると、この日は4kmほど走って折り返していたようです。
あらかじめサイクリングロードの規模や場所について調べ、計画的に行動していれば、西の湖を1周することもできたでしょう。しかし、今回の近江八幡 (おうみはちまん) 旅行はまったくの思いつき。出発前日の夕方に衝動的に決め、翌日ぴょいと家を飛び出した旅です。現地に行けば何とかなるだろうと、ぜひ見たい資料館が火曜日に休館しないことだけ下調べしておきました (実際にはなぜか休館していましたが)。それ以外に観光情報は集めておらず、よし笛ロードが通っていることは赤い舗装路を見つけるまで知りませんでした。そして、見つけたときは既に夕方になっていました。
いつか1周してみたいな。
参考リンク:
*注: 千葉県立中央博物館 企画展案内: 深海魚の不思議
よし笛ロード関連情報:
近江八幡観光物産協会: びわ湖よし笛ロード …… レンタサイクル店の案内もあります。
まっぷる: 琵琶湖のよし笛ロード …… 近隣の観光案内が地図と連動していて便利。
琵琶湖のレンタサイクル紹介
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(2008年5月27日) リンク先ページが削除されていたので、別のページにリンクし直しました。