ドラマを見ていると、時折、悲鳴を上げるシーンに会うことがある。
遺体をみたり、刺殺死体だったり。
頭骨へ抜けていく悲鳴を聞いて、いつも、不思議に思う。
怖い思いの時、ああした悲鳴を上げることが、はたしてできるのか。
小さいころ、怖いドラマや、幽霊の出てきそうな、シーンが近づいて、あの独特な
音が聞こえてくると、ヒトはぞっとすると言う。
自分の体験から言うと、身体がかあっとなったものだった。
恐怖から絹を引き裂くような悲鳴にならないのではないかという自論。
うん十年前に、朗読劇風な劇の演出をしたことがあった。
通行人が突然現れた暴漢に切りつけられて、悲鳴を上げる、シーン。
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下手から二人連れの女学生がにこやかに話しをしながら歩いてくる。
上手から暴漢風の人物が近づいて来る。
ナイフ様なもので、切りかかる。
通行人1 「キャアーーー」
(暗転)
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でも、ドラマの悲鳴を聞くと、
「そうかなぁ」
といつも思うようになった。
心底怖かったら、悲鳴にはならないのではないか。
実際に遭遇した人に聞くことは、出来ない。
なので、永遠に解けない謎。
あの悲鳴は、赤ちゃんの泣き声、幼児の発声、猫の鳴き声、声楽の発声。
に通じている。