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もく‐と【目途】
1 めあて。目的。
2 めど。「年内竣工を目途に工事を急ぐ」
め‐ど【目▽処/目途】
目指すところ。目当て。また、物事の見通し。「九月実施を―に細部を詰める」
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株式会社共同通信社
「言の葉の森」「目途」どう読みますか?
2020年11月2日
「目途」は「めど」と読みますか? 「もくと」と読みますか? こんなアンケートを、毎日新聞校閲センターのウェブサイト「毎日ことば」で実施したのは昨年5月。その結果と解説をまとめたページへのアクセスが今春、急増しました。
恐らく、新型コロナウイルスに関する記者会見で安倍晋三前首相が「5月14日をモクトに、専門家にその時点での状況を評価いただきたい」といった具合に「モクト」と何度か発言したことが理由でしょう。耳慣れない言葉を聞き「もくと? 『めど』じゃないの? 安倍さん、また漢字読み間違えたのかも」なんて思って検索し、校閲のページにたどり着いた人が多かったのでは、と推測します。
ただ、辞書には「めど」「もくと」いずれも載っています。むしろ新聞は「めど」は平仮名で書き、漢字で「目途」とあれば「もくと」と読まれることを想定しています。なぜなら「めど」を「目途」と書くのは当て字だから。
「目」は「め」、「途」は「と」だから、後ろを濁らせて読めば「めど」じゃないか、と思うかもしれません。
しかし、文化庁の「言葉に関する問答集」によると、「め」の訓読み+「と」の音読み、という湯桶(ゆとう)読みの言葉で後ろを濁らせるのはなじまず、「常用漢字表の音訓欄に掲げてある音訓による使い方からは外れている」とのことでした。
辞書では「目処」の表記が優勢ですが、常用漢字表内の読み方ではないため、こちらも新聞では原則使いません。
それでもアンケートでは「目途」を「めど」と読む人が75%と圧倒的で、「もくと」派は12%(残りは「どちらでもよい」)。「もくと」のつもりの新聞の「目途」は、実際には「めど」と読まれることが多そうです。
あまり浸透していない「もくと」を使いがちな政治家の皆さんは、国民に理解されにくい言葉だ、ということを意識した方がよいかもしれません。