【独自】黙殺された反対意見…新型コロナ「第8波」対策の効果は? 遠のく「5類相当」への引き下げ議論
2022/11/19 11:50
「会議の最後に『反対意見はありますか?』と聞かれなかった。総意としてまとめられてしまった」
政府コロナ分科会のあるメンバーは、取材に対し、こう振り返った。
新型コロナウイルス「第8波」対策が議論された分科会で、医療機関の負担が限度を超えた場合、都道府県が外出自粛を呼びかけるなどの対策案が了承された。
多くの国がコロナ後の日常を取り戻す中、一部のメンバーは「オミクロン株の重症率を見ても必要だろうか。矛盾を感じる」などとして、対策案に疑問を呈していた。しかし、その声は最終的にかき消された。
結局”行動制限”なのか?
11月15日には東京都の新型コロナ感染者が2カ月ぶりに1万人を突破。北海道では過去最多を更新するなど、第8波が始まっている。
11月18日、政府は第8波に向けた対策を正式決定した。
その一週間前。11月11日に医療や感染症、経済関係などの専門家たちが集まる分科会で政府の対策案が示され、了承された。医療機関の負担が大きくなった場合、各都道府県の知事の判断で住民に外出自粛の“呼びかけ”をするというもの。罰金などの法的な拘束力はない。
政府は、今夏の「第7波」の主流だったオミクロン株から新たな変異で感染力などが大きく変わらなければ「新たな行動制限は行わない」というスタンスを貫くとした一方で、各都道府県に任せる形で一種の“行動制限”の選択肢が示され、街では疑問の声も多かった。
補償や支援がないまま“外出自粛”
大前提として、決定された今回の対策は、あくまでも今夏と同等の感染、医療の負荷状況であれば発動しないとしている。
新たな対策をまとめるにあたり、従来の感染警戒レベルの見直しもされた。「医療負荷増大期」として、重症化リスクのある人が外来診療をすぐに受診できないような感染状況になった場合(新レベル3)各都道府県が独自の判断で「医療ひっ迫防止対策強化宣言」を出し、混雑する場所への外出などを控えるように呼びかける、としている。
さらに感染者が増え、救急車を呼んでも来なかったりと、医療機関が機能しない状況になる恐れがある場合を「医療機能不全期」(新レベル4)と定義。この状況になりそうな場合、各都道府県が「医療非常事態宣言」を出し、より強力な呼びかけを行うとしている。
外出や移動は必要不可欠なものに限定し…
・出勤の大幅抑制
・帰省や旅行は自粛要請
・イベントの延期要請
・学校の行事や部活動の大会などには慎重な対応要請
・出勤の大幅抑制
・帰省や旅行は自粛要請
・イベントの延期要請
・学校の行事や部活動の大会などには慎重な対応要請
一方で、経済活動を止めないために…
・飲食店や商業施設の時短、休業は要請しない
・接触者の出勤停止はしない
・学校の授業は継続
・飲食店や商業施設の時短、休業は要請しない
・接触者の出勤停止はしない
・学校の授業は継続
飲食店などに時短や休業を要請しないとしつつも、外出自粛の呼びかけがあった場合は、いずれにせよ売り上げへの影響は大きい。それにも関わらず今回も補償金はない。また、イベントの延期をした場合の事業者側への支援制度も想定していないことが11月18日に明らかになった。
効果に疑問も「何もしないわけにはいかない」
今回の対策は、第7波のときに創設された「BA.5対策強化宣言」をベースにしている。病床使用率が50%を超えるなどしても、実際にこの宣言を実施したのは27道府県にとどまり、さらにその効果を疑問視する声も少なくない。
ある政府関係者は「正直、効果には疑問だが、だからといって政府が何もしないわけにはいかない」とこぼす。
以下略ーーーーーーーーーーーーーーーーーー