知念実希人「優しい死神の飼い方」光文社文庫 2013年刊
題名は何かおどろおどろしいが、死後、この世に未練を残して彷徨う魂を誘導する役目を持った案内人(これを死神と呼ぶらしい)がその未練を断ち切り、幾つかの魂を見事天国へ誘導する物語である。
著者は才気あふれる医者として、医学知識を縱橫に駆使し、多彩なレトリックでストーリーを展開するが、内容は簡単で、善人悪人ははっきりしており、善人だが誤解、錯覚によって後悔や未練を持っている人を導くというものである。
以前読んだ大川隆法の「魂の救済」みたいな分野だが、小説仕立てだけあって、押し付けがましさがなく、独りよがりな所に救われる。
帯に書いてある読者メーター第一位、とか「感動!」というほどではないが、面白い方の小説である。