遅いことは猫でもやる

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池井戸ワールド

2019-10-28 02:39:30 | 

池井戸潤「7つの会議」集英社文庫2012年刊

お馴染み池井戸潤の企業内事件小説だ。「下町ロケット」「陸王」「ノーサイドゲーム」などで企業内外の人間模様を描き、その機微に触れ読者を飽きさせない力量は流石である。

本書はは少し趣向を凝らし、8篇の短編からなるが、それぞれは同じ企業内のエピソードを語り、底辺に流れるテーマと微妙に絡んでゆく。それだけではなく、初めの方にそれとなく出てくる登場人物が、実は全体を左右する重要なキーマンだと。最後の8篇目で解き明かされる。

銀行員やサラリーマンを描かせたら天下一品の著者がここでも力量を発揮して、読むものを引きつける。お得意の世界にグイグイと引っ張ってゆく。サラリーマンの野心、意気込み、悲哀などが多方面から描かれる。

エンターテイメントとして、また病院の備え付け文庫として最適な読み物のような気がする。

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