遅いことは猫でもやる

まずは昔メールした内容をひっぱってきて練習...
更新は猫以下の頻度です。

金正日の哄笑

2011-10-29 09:54:21 | 


10年前の本である。金大中が平壌を訪問し、太陽政策を取り、ノーベル平和賞
を受賞した。南北融和が進んだと印象づけられた時代に「南北は本当に和解した
のか」と問いかける。光文社刊 関川夏央、恵谷治,NK会編。NK会とは北朝鮮
=ノースコリアの略。メンバーは森本敏、島田洋一、朱建栄などが属する。

題名から想像するような、いわゆる北朝鮮の内幕物ではなく、各政府発表声明や
新聞記事など公式になっているものから北朝鮮という国を分析を行ったものであ
る。

10年前の著書でありながら、この本が示す北朝鮮の姿は殆ど、現在に通じる。
示唆されている、核実験、ミサイル発射、金正恩後継が事実として加わる程度で
ある。

地政学的には、アメリカ、中国双方が緩衝地帯としての朝鮮半島を望み、体制の
激変を起こそうとはしない。金大中は一方的な北への支援によって、北の内部崩
壊を促す、という戦略をとった。しかしこれは逆に金政権の強化をしただけであっ
た。クリントン政権の曖昧な対応がこれに後押しをした。

林建彦氏の見解によれば、チェチェ(主体)思想の国が、いつの間にかロシア・
中国、韓国・日本、アメリカの援助なしには立ちゆかなくなっている。
戦後には友好価格という特別価格によるソビエト、中国からの援助、日本からの
コメ100万トンにのぼる人道支援。アメリカクリントン政権からの年50万バ
レルの石油支援、韓国からの金剛山観光開発、ケソン工業団地開発支援など、に
より命脈を保ってきた。自然災害は毎年発生し、成長率は86年からマイナスを
続けている。

資源を経済発展ではなく軍、兵器開発に投じ、その恫喝によってあらたなる援助
を引き出す。まさにヤクザ国家である。外交交渉ではあらゆる手練手管を駆使し、
自国の貧しさ、国民の貧窮までも交渉の材料に使う。民主主義国家のように国民
の意向や議会手続きを考慮しなくて良い分だけ、交渉は有利である。

この本は北朝鮮の国としての立場や方向を分析して、10年後も適応している。


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