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F1マシンにカタログがあるの?

 あるんです。もっともいくらお金を積んでも今シーズン用のマシンは買えませんが(過年度のマシンは多くの場合お金さえあれば購入可能です)。こちらをご覧ください。HONDAの今シーズン用マシン、RA106のカタログです。RA106の諸元と共に比較のためにS2000のそれが掲載されているのがなかなか面白い。それでは、ざっとカタログを見てみましょう。

 全長×全幅×全高は、RA106の方が50cm程長いけれどビックリするほど大きさが違うわけではないのです。全長だけではなくてホイルベースもRA106の方が長いけれどトレッドは似たようなものです。最も違うのは車重ですね。S2000の1250Kgに対してRA106は600Kgしかありません(以下、数値等はS2000、RA106の順で記載)。しかもドライバー込みですから、実際は520kg程度でしょうか。最低地上高も13cmに対して僅かに2cmですから随分違います。

 次にエンジンです。S2000の直列4気筒に対してRA106はV型8気筒です。バルブ機構はチェーン駆動とギア駆動の違いはありますが1気筒当たり4バルブ(DOHCというヤツです)は同じだし、排気量も2.2Lに対して2.4Lですからまぁ似たようなものですが、その出力は大違いです。

 S2000は市販車の自然吸気エンジンとしては破格の1Lあたり120馬力(242馬力)ですがRA106はと言えば、なんと700馬力(1Lあたり290馬力)です。それでいて車重が600Kgですから、速くない訳はないのです。最大出力は大きく違う2台ですが意外なことに最大トルクは22.5Kg・mに対して29Kg・mと、それ程変わりません。RA106のエンジンは薄いトルクの高出力のエンジンですから常に高回転を維持していないとたいしたパワーも出ないということになりますね。

 ちなみに最高回転数は8,000回転(2Lモデルよりも下がってる?)に対して19,000回転以上です。ここでは標記された「19,000」という数字よりも「以上」というところに注目すべきですね。シーズン開始前にすでに19,000回転以上回っているということですから、シーズン中には20,000回転突破も夢ではないということです。

 さて、その高性能エンジンの燃費です。11Km/Lに対して3.6Km/Lと大きく違うようにも見えますが、エンジン出力の比とほぼ同等の差ですから、まぁ、妥当なところともいえるでしょう。ただし3.6Km/L という燃費がRA106がどういうスピードで走った時のものなのか記載がありませんので正確な比較は出来ませんね。レーススピードでこの燃費だったらすごいことですがそれはないでしょう。何故ならばRA106の燃料タンクが150Lもあるからです。レーススピードで3.6Km/Lだとしたら満タンにすれば無給油で540Kmも走れてしまいます。

 そうそう、性能で言えば最小回転半径が大きく違いますね。5.4mに対して9mです。つまり、タイヤがグリップした状態ではRA106はモナコのローズヘアピンを回り切れないということになりますから、当然リアタイヤを滑らせながら回っているということになります。

 最後にタイヤについて。215/45R17 87W・245/40R17 に対して265/55R13・325/45R13と勿論RA10 6のタイヤの方がずっと太いのですが、扁平率を見ると実はS2000の方が一回り半ほどロープロフィールなタイヤを履いているのです。何故F1のタイヤが現代の市販車タイヤよりも「ハイプロフィール」なのかは郷秋<Gauche>にも謎なのです。どなたか、ぜひご教示ください。

 タイヤについては、その扁平率を見る限りではS2000の方が高性能であるかに見えるのですが、これは大きな間違いです。市販車用タイヤとF1用のタイヤというのは、実はまったく別なものと考えたほうが良いほどに違うのです。説明が難しいのですがF1のタイヤは普通のタイヤのトレッド面にガムテープを裏返しに、つまりベトベトの方を外側にして巻きつけたものと考えてください。ただ、このベトベトがいつもベトベトなのではなくて、走ってタイヤの表面温度が高くなってくるとベトベトになって路面に張り付いてくるのです。このベトベトが長続きすればよいのですが、すぐに取れてしまうために度々タイヤを交換しなければならないということになるわけですね。

 と、まあ、RA106のカタログから読み取れる市販車との違いはこんなところでしょうか。

例によって記事本文とはなんの関係もない今日の1枚は、白梅。
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