デジタルカメラのしくみ

 
 「体系的に学ぶ『デジタルカメラのしくみ(第2版)』」を読んでみた。デジタルカメラの使い方やデジタルカメラを使っての写真の撮り方については一切触れられていない、ハードウェアとしてのデジタルカメラの仕組みについての解説本である。

第1章:デジタルカメラの概要
 タイトル通りデジタルカメラの概要を知ると同時に、その発達史を概観できる。ただし、どういう事情があるのかは判らないがニコンの製品について触れられることが少ないのは不可解である。
第2章:一眼レフカメラとコンパクトカメラ
 短い章であるが、簡潔にその違いについて書かれている。
第3章:レンズ
 デジタルであろうとフィルムであろうと、写真撮影には不可欠なレンズについてかなり詳しく書かれている。収差の起こる原因とその解決方法などについてかなり詳しく書かれている。またフィルム時代にはなかった、デジタルカメラ特有のレンズに対する要求についても触れられている。
第4章:撮像素子
 CCD、CMOSと云った撮像素子について、一般的な写真愛好家にはそこまでは必要ないだろうと云うところまで仔細に解説されている。
第5章:デジカメを支える機構・技術
 デジタルカメラ特有の機構についての解説。フィルムからデジタルに移行したい方、既に移行しながらもいまだに違和感を持っている方は必読。本書の中核をなす章である。
第6章:画像と記録メディア
 撮影された画像をどのように記録し、それをどのように利用するかについて書かれている。RGB、色温度とホワイトバランス、ヒストグラム、RAW、JPEG、TIFF、Exifなどについての理解を深めることができる。

 先にも記したように、デジタルカメラを純粋なハードウェアとして解説したものである。例えば被写界深度や画角などのレンズの特性、色温度とホワイトバランス、画像データをPCで取り扱う時の注意点など、撮影についてのノウハウ本を読んでも十分に理解できない方は本書を読みデジタルカメラの原理と構造を知ることでそれらの悩みをある程度解決することが出来ることだろう。

体系的に学ぶ「デジタルカメラのしくみ(第2版)」
神崎洋治・西井美鷹 著
日経BPソフトプレス (ISBN:978-4-89100-627-3)
発行年月 2009年2月 2日
299p 21cm頁
1,900円(税別)
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