Nikon COOLPIX S1000pj 発売延期

 Nikon(ニコン)は9月に発売するとアナウンスしていた世界初のプロジェクタ内臓型デジタルカメラCOOLPUX S1000pjの発売時期を、10月23日に延期することを8月31日に発表した。

 発売時期延期の理由についてニコンは「ご注文が当初想定した数量を大幅に上回り、十分な台数をご用意できないため」としているが、機構・機能上の問題が見つかったのではないか、肝心なプロジェクタ部分に欠陥が見つかったのではないかとは穿ち過ぎだろうか。

 さて、郷秋<Gauche>はCOOLPUX S1000pjについて「これはデジタル方式カメラ登場後、もっとも大きな変革をもたらしたものとして歴史に名を残すカメラとなる事は確実です」と書いた(8月5日)。もし、発売時期延期の理由がニコンの発表した通りなら郷秋<Gauche>の「予言」は当たるかも知れないが、ニコンの出荷見込み数が過少であっただけならハズレるかも知れない。

 さて、先に書いた「もっとも大きな変革」とは、これはもう「撮ったその場で『大勢』で見ることが出来る」に尽きる。フィルム方式のカメラには無い、デジタル方式カメラの特徴の一つは、撮った写真を内臓のモニターで撮影直後に確認することが出来ることだが(注1)、初期のデジタルカメラのモニターは極小さく撮影者一人がようやく確認できる程度の大きさであったし、大きくなった現在でも3インチ程度だから2、3人でのぞき込むのがせいぜいである。

注1:初期のデジタルカメラにはモニターがついていないものもあった。フィルム時代にもその場で写真を見ることが出来る「ポラロイド」があったが、現像(絵が出るまで)に30~60秒かかった。

 そんなデジタルカメラにプロジェクタが内臓されたとなれば撮影したその場で投影し、数人から十数人で見ることが出来ることになるから、これはもう変革と云うより革命である。

 とは云っても投影サイズが5インチ(投影距離26cm)から最大で40インチ(同2m)で、プロジェクタの明るさ僅かに10ルーメン(注2)だからその明るさ(と云うより暗さ)は推して知るべし。つまりだ、暗い場所じゃないと見えないだろう、きっと。26cmの距離(5インチ)で投影しても明るい海岸やスキー場では多分ボンヤしか見えないだろうし、2m(40インチ)に至っては真っ暗な部屋で見ても「見えるかな?」程度だと、郷秋<Gauche>は予想するが、それでも投影できると出来ないとでは大違いだ。

注2:「ルーメン」は光源から放射される光の強さを表す単位。身近なところではプロジェクタの明るさを示すのに使われる。因みに郷秋<Gauche>が仕事で時々使うデータプロジェクタは3000ルーメン。これでも昼間はブラインドを下ろすか蛍光灯を減光する必要がある。

 さて、郷秋<Gauche>として気になるのは小さなカメラに内臓してしまったプロジェクタの構造である。まさかこれまでのプロジェクタのように放電型ランプを使っているとは思えず、おそらく高輝度のLED(発光ダイオード)を光源にしているのだと思う。これはまったくの想像だけれど、あるいはTI(テキサス・インスツルメント社)が開発した「DLP Pico」を使っているのかも知れないな。

 COOLPUX S1000pjが嚆矢となり今後多くのプロジェクタ内臓カメラが登場することと思うが、果たしてSLR(一眼レフ)に内臓されるようにはなるだろうか。S1000pjは撮影用の光学系(レンズ)とは別に投影用の光学系を持っている(ようだ)が、SLRに内臓するなら、投影時にはミラーを上げ、イメージセンサーを収納してその場所にプロジェクタのメカニズムをセットして撮影用の光学系(レンズ)を逆方向に使って投影することはできないのだろうか。

 それが可能だとしても、そのためにカメラボディが大きく重たくなるのは嫌だから郷秋<Gauche>は欲しくないかな。データバックアップ用のストレージに内臓するといいんじゃないかと思うけれど、どうだろう。


 例によって記事本体とは何に関係もない今日の写真は、山中湖畔の某お茶兼みやげ物店で撮った何気ない一枚。
コメント ( 0 ) | Trackback (  )