OLYMPUS PEN E-P1 vs LUMIX GF1

 LUMIX(ルミックス)はご承知の通りPanasonic(パナソニック)が作るカメラのブランド名だ。オリンパスとパナソニック、企業としての両者を売上げ高で比較するならば、9800億円対9兆2000億円でまったく勝負にならない。でも、カメラのブランド力で比べるならば、オリンパスの圧倒的勝利だ。なぜなら、OLYMPUSは「オリンパス」とルビを振らなくても誰もが「オリンパス」と読めるが、LUMIXには「ルミックス」とルビを付さなければ読めない人が大勢いる。そもそもが、パナソニックがカメラを作っていることさえ知らない人が山ほどいることだろ。

 OLYMPUSとPanasonicは共にFour Thirds(注)陣営。同じ規格に基づいてカメラボディとレンズを製造・販売しているが、いま話題になっているのはMicro Four Thirds規格準拠の、所謂「デジタル一眼カメラ」、つまり、OLYMPUS PEN E-P1と LUMIX GF1である。

注:Four Thirds(フォーサーズ)はオリンパスが主導して策定された4/3インチのイメージセンサー(撮像素子)を使用するデジタルカメラの規格。主導したオリンパスの他、コダック、シグマ、三洋電機、富士写真フィルム、パナソニック、ライカが賛同しているが、Four Thirds及びMicro Four Thirds(マイクロ・フォーサーズ、4/3インチのイメージセンサーを使用し、かつレフレックス機構を持たずフランジバックを小さくしたカメラの規格。)のカメラを現在製造・販売しているのはオリンパスとパナソニックのみである。

 GF1はE-P1と大きさはほぼ同等だが、E-P1より50gも軽い285gだから20mm F1.7のレンズを着けても385gでしかない。でかくて重たいCanonのコンパクト?カメラG11の355gと大して変わらない軽さだ。それにE-P1には着かないEVF(電子式ビューファインダー)の装着が可能だし、ストロボも内蔵されているからE-P1よりGF1の方が使い勝手も良さそうだ。

 でも、郷秋<Gauche>はGF1、と云うよりLumix、と云うよりPanasonicのカメラは買わない。双方のWebsiteを見比べてみて欲しい。E-P1はちゃんとしたカメラのWebカタログなのに、GF1のそれはまるで冷蔵庫や洗濯機のカタログのようだ。きっと紙のカタログもそうなんだろな。冷蔵庫や洗濯機と同じスタンスでカタログを作るメーカーが作ったカメラを郷秋<Gauche>は欲いとは思わない。

 カメラは自分の感性を表現するための道具だ。カメラは、冷えればよい冷蔵庫や汚れが落ちればそれでよい洗濯機とは違う。自分の個性を表現する道具だから、そこには夢が無ければならない。パナソニックのカメラにはその「夢」が感じられないんだ。だから郷秋<Gauche>はそんなカメラで写真を撮りたいとは思わない。

 でも、そんな郷秋<Gauche>の思いはまったくの偏見なのだと思う。スペックを見る限りGF1とE-P1はほぼ同等の性能だし、GF1のモニターはE-P1よりもずっと解像度が高いし、先にも書いたとおりストロボも内蔵されているしEVFだって装着できる。それでも、自分の夢を描く道具には夢があって欲しいと思うから、郷秋<Gauche>やっぱりパナソニックのカメラは嫌だ。

 冷静に考えると、結局はブランドイメージの問題なんだろうなと思う。冷蔵庫や洗濯機や掃除機を作っているメーカーだから、余りにも現実的で夢がないように感じる。GF1のカタログが冷蔵庫や掃除機のカタログと同じように見えてしまう。長く映像の世界で製品を作ってきたオリンパスだからそこに夢や芸術性を見出してしまう。パナソニックはそれを知っているから、自社のカメラにPanasonicではなくLumixというブランドを使っているのだ。

 OLYMPUS PEN E-P1とLUMIX GF1の勝負は、結局はブランドの勝負。だから最初から勝負はついている。OLYMPUSの圧倒的勝利なのである。でも、郷秋<Gauche>のような先入観を持たない消費者は、安くて高品質な「世界のパナソニック」を選ぶのだろう。定番の黒だけじゃなくて白や赤のボディもあるから女性に選ばれることも多いだろう。まぁ、それも一つの選択ではある。


 例によって記事本体とは何に関係もない今日の写真は、昨日に続いて山中湖畔の某お茶兼みやげ物店で、(郷秋<Gauche>の偏見によれば)夢あるNikonの(定額給付金で買った中古の)コンパクトカメラで撮った一枚。
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