小林可夢偉、FLを記録

 中国GPの予選があった日、郷秋<Gauche>は「おめでとう、ニコ」と題する小文を書いた(see here)。おそらく多くの「F1ブログ」では小林可夢偉の予選4位について、また、翌日の決勝レースでの小林の表彰台、あろうことか「優勝」さえも夢想した記事が溢れていたものと思われるが、郷秋<Gauche>は小文の最後に「今回は、結果以上に、頂点に輝くドライバーたちの走りを学び、彼らに伍して走ることの出来るテクニックと精神の強さを学んでもらいたいと思う郷秋<Gauche>であるぞ。」と書くに留めた。

 だってそうだろう。いくら前戦でチームメイトのセルジオ・ペレスが2位表彰台を獲得したとは云え、あれば天候の変化がなせる業であって、ザウバーチームが真の実力でものにした表彰台ではない。勿論ペレスの落ち着いたドライビングは賞賛に値するし、今年のマシン、Sauber C31の素性が良いことを否定するつもりはないけれど、郷秋<Gauche>に云わせればあれはフロック。マシンとドライバー、そしてチームの総合力、真の実力で得た2位ではない。

 マシンは悪くない。ドライバーだって悪くない。でも、今のザウバーチームには、表彰台を自力でものにするだけの力がない。だから郷秋<Gauche>は一昨日、「彼らに伍して走ることの出来るテクニックと精神の強さを学んでもらいたい」と書いたのだし、それは小林一人に云った言葉ではなく、ザウバーチームのメンバーすべてに対してのものであった。5グリッド降格のペナルティを受けたハミルトンは表彰台をものにしているし、予選で失敗したベッテルは5位でフィニッシュしている。それが勝てるチームの実力なのである。

 チームの戦略が拙過ぎたと云うことは簡単だ。しかし、云ったからといってすぐには身に付かないのが、置かれた状況を的確に把握・判断してその時点での最良の指示を出すこと出来るチームとしての総合力である。ロス・ブラウン、名将と呼ばれるだけのことはある。クリスチャン・ホーナー、さすが「腐っても鯛」のチーム代表だ。マクラーレンはと云えば、ロン・デニス時代からの伝統の深み、厚みがものを云っているではないか。

 さて、最後にちょっとは褒めておこう。あるいはいまだにお気づきではない方もおられるかも知れないが、2012年中国GPのFL、つまりレース中一番早く周回したのは誰あろう、ザウバーの我らが小林可夢偉である。日本人F1ドライバーの中でFLを記録したのは小林の前には中嶋悟ただ一人。あれは1989年、雨のアデレード。「(前のパトレーゼ(3位、パスできれば中嶋が表彰台)は抜けそうだったんだけど、近づくとエンジンが雨を吸い込んでバラついちゃってだめだったのよ)とかなんとか、淡々と、たいて悔しそうでもなくコメントする中嶋が印象的だったなぁ。

 と云う訳で、小林くん、次のレースを楽しみにしているよ


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、ちょっと日本画に似せて作ってみた枝垂れ桜。昨日の恩田の森Nowには同じ趣向の写真を4枚掲載しているのでご覧いただければ幸いである。

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