たかが穴、されど穴・・・

 「たかが穴、されど穴・・・」。勘違いしないで欲しいい。デジカメWatchに掲載されていた「レンズマウント物語(第1話)」のタイトルである(see here)。

 郷秋<Gauche>に云わせれば、まったくふざけたタイトルである。第一に、あれは「穴」か?レンズ交換式カメラの前面にある大きな開口部。穴と云には余りにも大き過ぎるだろう。第二に、著者の豊田堅二氏は「たかが」の意味は知っているのか? 「たかが」は調べるまでもなく、「たいしたことがない。取るに足りない」と云う意味だ。レンズ交換式カメラのマウントは「たいしたことがない。取るに足りない」物か? 違うだろう。

 レンズマウントはレンズ交換式カメラにとって最も大切なもの。何十年もの長きにわたって使い続けるものだから、メーカーが心血を注いで開発したもののはずである。それを「たかが穴」って云ってしまう豊田堅二氏って何者?

 って、そう、氏はNikon(ニコン)の元技術者。大学では機械工学を学んだらしいが、ニコンでは電気系の設計をしていたようである。いづれにせよ、だからこそ、レンズマウントの大切さを知り尽くしている豊田氏だからこそ云える「たかが穴、されど穴」なんだろうな。レンズ交換式カメラにとって一番大切なはずのレンズマウントだが、多く語られることのないものでもある。カタログを見ても例えば「ニコンFマウント」と、書かれているだけで、「ニコンFマウント」とはどう云うものなのかの説明がまったくない。

 クルマにとっての最も大切なもの(パーツ)の一つであるエンジンは、カタログには、例えばF22Cと云う型式だけではなく、直列4気筒 2.2L DOHC VTECなのだとか、ボアとストロークの寸法(ちなみに87.0mm×90.7mm)、最高出力は178kW[242PS]/7,800rpmで最大トルクは221N・m[22.5kg・m]/6,500rpm~7,500rpmなのだとか、細々と書かれているのが普通だ(ちなみに今は無きホンダS2000の例。スポーツカー用にしてはロングストロークだ)。

 なのにだ、カメラの場合には、そんなことを書いても仕方ないだろうとばかりに「ニコンFマウント」としか書かれていない。私たちはレンズマウントについて知らな過ぎる。興味を持なた過ぎるのだ。少なくとも、レンズ交換式カメラを愛用する者ならば、もっとレンズマウントについて知っているべきである。例えばだ、「ニコンFマウント」の口径やフランジバックが何ミリなのか知っている人は何人いる?

 口径44mm、フランジバック46.5mmである。カメラマニアを自認するなら、このくらいのことは暗記しておいていただかないと困る。ちなみに郷秋<Gauche>は、写真は好きだし、写真を撮るための道具としてニコンのカメラは何台も持っているけれど、決してカメラマニアではないから、覚えていなかったぞ(実は口径は覚えていた。現役SLRのマウントとしては最小径かつ最長寿命)。Googleで検索して出てきた数字を上にコピー&ペーストしただけだ。

 と云う訳で、カメラマニアでない人も、写真が好きならぜひご覧いただきたいのが最初にご紹介した「レンズマウント物語」(何回にわたる連載なのかは不明。see here)をぜひぜひご覧いただき、より良い写真を撮るための道具であるカメラについての理解を、郷秋<Gauche>と共に深めて欲しいものである。


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、梅と桜の間が旬となる木瓜(ぼけ)。蝋細工のようにも見える独特風情の花である。

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