海と亀

飼ってるリクガメ(マルギナータ、ヒガシヘルマン)のこと、たまに趣味のダイビング、ちょい釣のこと

うぉるの命を振り返って・・・

2013年07月12日 21時31分23秒 | 記念日/思い出
今日7月12日は、我が家で2番目のヘルマン孵化仔・うぉるの命日です。

昨年の七夕の日に誕生したうぉる、
不自由な身体で苦しみながら、必死に生きようとしていたのですが、
5日後の朝、力尽きて動かなくなっていました・・・



昨年の母の日、長く体調不良が続いた母かめ・くうの、まさかの産卵、
7月6日朝には、予想もしない孵化開始。

しかし、なぜか?長径の片方の端から・・・





その日の夕方に、頭を出して殻から出ようとする姿に、気付いたこと、
顔の右側には瞼が見当たらず、左側の小さな瞼は開くことはなく、、、

不安を感じながらも、必死に出ようとする孵化仔を見守るだけでしたが、
翌日の七夕の日の夕方には、疲れ果てて、息も絶え絶えな様子・・・


意を決して、殻を割って取り上げることに・・・・

殻から出して分かったこと、下半身ほど、未完成な甲羅と四肢、、、

通常の尻尾と排泄腔といえるものではなく、
その場所には小さな窪みと、尻尾の痕跡らしき小さな突起・・・


そして卵から取り上げると同時に見えた、捻じれるように上を向いた両後肢、
恐らくは孵化時の損傷、あるいは骨格自体が未完成だったのか・・・??

必死に動こうとする度、向きを変える後肢は、あまりに痛々しく、
早く結索すべきなのか?しかし、小さな体に負担が大きすぎるのでは!?
途惑いながら、結局決断できませんでした、、、





私とのこのんは、この仔に何とか生きてほしいと、‘うぉる’と名付けました。

ガラパゴスで出会った、すばしっこく動き回る、鮮やかな黄色をした小さな鳥、
‘ウォルブラー’(キイロアメリカムシクイ)から。。。


途切れ途切れの縁甲板、多甲で黒い部分がほとんどない黄色い甲羅、
未完成な身体で自ら殻を割って、生まれ出ようとしたうぉる・・・


そのうぉるの姿を目の当たりにして、生きてもらうために何ができるのか?
強制給餌しか思い当たりませんでした。

通常なら、ヨークサックからの栄養が得られるはずの早期からの強制給餌、
ヨークサックからの栄養が期待できないのでは??という判断でした。

が、、、
急激に増加する体重の一方で、ある程度は予想がついていたのですが、
排泄がほぼ全くないまま、、、

何とか助けたいと願っての強制給餌でしたが、結果的には、
不安と苦しみを与えただけのように思います・・・


うぉるが生きた5日間、周りの様子を見ることもできず、
自らが置かれた状況を知るすべもなく、ひたすら苦痛と恐怖の中での、
長い時間だったことでしょう・・・

ただただ、申し訳ないことをしたとしか、、、




振り返ってみると・・・


前年の10月から、母かめ・くうの♂化行動、
翌月の診察では、エコー検査で1つの小さな卵胞を確認し、
高めの温度設定で、産卵に備えるものの、
その後も数か月続いた♂化行動と、更に長く続いた食欲低下・・・





4月の診察では、卵胞の消失と、異常に増殖した原虫を確認。

この原虫は通常でも見られるもので、駆虫する必要はないのですが、
異常増殖が体調回復を遅らせている可能性があるとの判断で、
原虫を減らす目的で、投薬に踏み切りました。

参考までにですが・・・
このとき投薬した薬は、人にも使用されているもので、
人では妊婦に使用された際も、危険性は低いとされているようで、
孵化仔に影響を与えた可能性は低いものと思っています。





投薬から3週間半、ようやく食欲を取り戻したと思ったところで、
まさかの産卵・・・


掘りだした時点で、殻の薄さ、軽さを感じていましたが、やはり・・・、
4つのうちの3つが、早い段階で渇いてしまうように、明らかな重量減、
成長を確認していた1つも、長径の片側には異常に大きな空気層が、、、

次の産卵に向けて、踏ん切りを付けるつもりで測った重量は
産卵時の11.6gから9.7gと大きく減少、孵化はないものと思っていました。

が、、、信じられない、孵化開始でした。



渇いて軽くなった卵の中には、十分な身体を作り上げるだけの材料が、
どこにも残っていなかったはず、、、

加えて、孵化器の温度・湿度の設定が不適切だったことも確かだと・・・
予想もしていなかった産卵に、慌てながらの孵化器と産卵床の準備、、、
(その後は、いくつかの改良(?)を加え、加温法も変更しています)



母かめの体調不良による、極度な栄養不足・・・
孵化器の不適切な設定による、奇形・・・

そんな過酷な状況の中、うぉるは何とか体を造り上げ、
不十分な身体で、自ら殻を破って、必死に生きようとしていました。

そのうぉるを助けることができなかった自分の力なさを感じ、
うぉるには、申し訳ないことをしてしまったと思っています、、、






今となっては、うぉるのために何かすることはできないのですが・・・

せめて、うぉるの家族と仲間たちが、健康で充実した生活ができるよう、
そして、うぉるの弟妹たちが健康に誕生、成長することができるよう、
気を緩めることなく、お世話をしていこうと思います。

かめ庭の片すみから見守ってくれている、うぉるに恥じないよう、
飼育者として成長を続けたいものです。。。