ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

点字や音で「公報」…視覚障害者向け、民間で作製

2017年10月19日 03時51分56秒 | 障害者の自立

 今回の衆院選でも、全国の民間点字出版所などが集まり、選挙公報を点字訳するなどした視覚障害者向けの「選挙のお知らせ」を作製している。各都道府県選管が買い取った上で視覚障害のある有権者に届けるが、「点字版」と「音声版」「拡大文字版」の3媒体の配布状況には地域差がある。約30万人いる視覚障害者の中でも点字を読める人は一部で、社会福祉法人・日本盲人会連合(日盲連)は「本人が必要とする媒体で提供してほしい」と要望している。

 各媒体は公示後、1週間程度の日程で作製される。会員が約5万人いる日盲連など、関係団体でつくる日本盲人福祉委員会(日盲委)。そのプロジェクトに参加する視覚障害者支援団体「東京ヘレン・ケラー協会」(東京都新宿区)で、点字版を担当する田辺淳也さん(56)は「一言一句、公報と違ってはいけないと神経を使う」と話す。点字は50音で示されるため、漢字の読みの確認は必須だ。固有名詞はもちろん、「けんきゅうしょ」か「けんきゅうじょ」かなど、細かく確認する。

 公報には立候補者が作成した原稿が掲載され、体裁は自由。点字化する時には、どの部分が見出しなのか、スローガンなのかなど迷う場合がある。選管を通じて候補者に問い合わせてもらうことも。今回は解散が急だったこともあり、原稿の集まりが遅く、同協会の職員は気をもんだ。

 公選法上、点字公報は正式な位置づけがない。だが、視覚障害者が他の有権者と等しい情報に触れられるように、各団体が協力して作る。

 複数の媒体を作製するのは、見え方の違いなど視覚障害者の個人差が大きいからだ。点字を使わない人には音声、ルーペなどの補助器具で読める人には拡大文字が使いやすいといった事情がある。

 点字版と音声版は全国の選管がほとんどの地域で配布しているが、点字図書館などに置くだけのケースもある。また、拡大文字版まで配布する選管は多くないのが実情だ。

 青森県や秋田県、神奈川県などは小選挙区、比例代表ともに3媒体で配布。熊本県は小選挙区は音声、比例代表は点字と音声で配布する。同県選管は「点字を読めない人もおり、要望が多いのは音声」という。

 日盲委は音声コード付きの拡大文字版の作製を目指してきたが、製作事業者と準備を進める途中で衆院が解散し、今回は小選挙区分は断念するしかなかった。

 視覚障害者の多くを占める弱視者でつくる「弱視者問題研究会」の並木正代表(52)は「選挙公報は国民の知る権利を支えるもの。弱視の人も含めて見え方はさまざまで、選択肢はたくさんある方がいい。拡大文字版も含め、各地にくまなく行き渡るようにしてほしい」と話す。

   

広がれ心のバリアフリー 

2017年10月19日 03時45分15秒 | 障害者の自立

 障害者選手ら仙台の小中学校訪問 交流通し理解深める

 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、仙台市教委は今月、子どもらと障害者アスリートらが交流する「心のバリアフリー推進事業」を始めた。関係者は、交流を通じて障害のある人々への理解が深まることを期待している。
 事業の初回として6日、車いすバスケットボールの日本選手権で9連覇中の宮城マックス(仙台市)所属の2選手らが太白区の芦口小を訪れ、特別支援学級を含む4年生の児童46人と車いすバスケで交流した。
 岩佐義明監督と菅原志朗、藤井郁美両選手が車いすバスケのルールや車いすの操作方法などを説明。児童らも車いすに乗ってゴールにシュートしたり、2選手を交えたミニゲームを体験したりした。
 選手らの素早い動きやボールさばきに、児童らは歓声を上げた。4年2組の滝沢美緒さん(9)は「車いすに乗ってシュートするのは難しかったが、楽しかった。選手たちがすごい速さで動くのが、かっこよかった」と笑顔を見せた。
 藤井選手は「子どもたちが車いすに乗る機会は少なく、貴重な体験になったと思う。交流を通じて障害者スポーツにも興味を持ってもらえたらうれしい」と話した。
 市教委は12月までに市内の小中学校10校で、電動車いすサッカーの選手やダウン症の音楽家、義足のマラソンランナーらとの交流事業も実施する。
 心のバリアフリー推進事業は文部科学省が本年度、都道府県教委や市町村教委などに実施を委託した。

選手を交えたミニゲームを楽しむ児童ら

2017年10月18日   河北新報


障害者や高齢者に優しい企業を表彰

2017年10月19日 03時34分50秒 | 障害者の自立

 □日本ユニバーサルマナー協会代表理事・垣内俊哉さん(28)

 --初開催する「ユニバーサルマナーアワード2017」の表彰式が24日に行われる

 「障害者や高齢者ら多様な人々にとって心地良い取り組みであるユニバーサルマナーを実施している19の企業・団体を表彰する。小さな企業・団体も選ばれており、多岐にわたる。エントリーした42社・団体もメーカーやサービス、金融、自治体など多様で、障害者・高齢者対応に自信を持って取り組んでいることが分かった」

 --表彰式を始めた理由は

 「ユニバーサルマナーにコストをかけて取り組みながら、人目につかず知られていない企業は少なくない。こうした気配り、心配りができる企業を社会で褒めたたえる必要があると考えた。ユニバーサルマナーの必要性を理解し、機運を高めるイベントと位置付けている」

 --ユニバーサルマナーへの関心は

 「高まっている。当協会のマナー検定受講者は3万人に達し、数千、数万人単位で受講する企業も出てきた。若い人も関心を持っており、夏休みに受講料5000円を払って親子や兄弟で受けに来る中高校生もいる」

 --障害者らに声をかける若者が増える

 「ユニバーサルマナーが普及する時代が来ると、ひしひしと感じる。20年の東京五輪・パラリンピックに向かって機運は盛り上がるだろうが、それ以降は障害者への心遣いが停滞しかねない。障害者への思いやりは格好良い、スマートで、しかも当たり前の社会にしたい」

 --ビジネスにも生かせる

 「障害者にとってのバリアを解消すれば外出機会は増える。買い物や飲食する際に選ばれるのは障害者に優しい企業だ。しかも家族や友人と出かけるので消費額も増える。社会貢献だけでなく確実にビジネスにつながる。企業は優しさを情報発信すべきだ」

【プロフィル】垣内俊哉

 かきうち・としや 2012年立命館大経営学部卒。在学中の10年に、ユニバーサルデザインの浸透を目指すコンサルティング会社「ミライロ」を設立し、社長。13年日本ユニバーサルマナー協会代表理事。岐阜県出身。

2017.10.18  SankeiBiz


聞こえない、は強みだ

2017年10月19日 03時19分06秒 | 障害者の自立

聴覚障害者ゆえに突出した才能を伸ばし、誰もが生かし合う社会へ。「サイレントボイス」代表・尾中友哉さんインタビュー

人は生かされている限り、何かの役割があると仮定します。しかし、全員がそれぞれ自分の役割を自覚的に探し、そこにたどり着けるのかはわかりません。そして探求の道は楽ではないかもしれない。でもメッセージをあやまたず読み解けば、きっとたどり着けるのでしょう。今日ご紹介する尾中さんは、そんな数少ないひとりです。

「私らしく生きたい。自分にしかできない仕事がしたい」と、思ったことはありませんか?

そもそも「私らしさ」って何でしょう?
自分の「好き」を追求すれば「私らしさ」にたどり着くのでしょうか?

今回の取材で出会った、株式会社およびNPO法人「Silent Voice(以下、サイレントボイス)」の代表・尾中友哉さんは、聴覚障害を持つご両親のもとに生まれ育ちました。

「1歳の頃、舌を指差して『お腹が空いた』と母に伝えていたのがどうやら最初に覚えた言葉です。親とはジェスチャーで話をしていたから、4、5歳まで保育園の友だちと日本語での会話があまりできなかったんです。夢も手話で見ていたし、寝言も手話でした」と尾中さんは話します。尾中さんはまさに、手話で育った手話ネイティブ。

ちなみに、尾中さん自身には聴覚障害がありません。健常者(聴者)の世界と、聴覚障害者が生きる“声を使わない世界”を行き来してきたユニークな体験を活かして、尾中さんはこのふたつの世界をつなぐ仕事をはじめました。それは、まさに尾中さんにしかできない仕事。今日はその活動内容をご紹介します。

尾中友哉(おなか・ともや)
株式会社およびNPO法人「Silent Voice」代表。1989年、滋賀県出身。聴覚障害者の両親を持つ耳の聞こえる子ども「通称:CODA(コーダ)」として、手話を第一言語に育つ。大学卒業後、東京の大手広告代理店に勤務。激務の日々の中、「自分にしかできない仕事とは?」について考える。退社後はフリーの広告ディレクターとして活動しながら、2014年2月に任意団体「Silent Voice」を立ち上げる。企業などへのセミナープログラム「DENSHIN」は株式会社「Silent Voice」として、また聴覚障害・難聴のある就学児向けの「DEAF ACADEMY」はNPO法人「Silent Voice」として運営し、聴覚障害者の強みを生かす社会の実現に向けて活動している。

思いやる心は、言葉を超えている。

「サイレントボイス」が手がける事業は大きく2つあります。そのうちのひとつが「DENSHIN」。“無言語空間”での音・言葉を使わないコミュニケーション体験を通して、日頃のコミュニケーションを見つめ直す研修プログラムです。

この研修で講師を務めるのは聴覚障害者です。参加者は数名でチームになり、声を使わずに表情やジェスチャーを駆使して、ゲーム形式で簡単な文章や単語を伝えます。参加者は普段、言葉を声にしてコミュニケーションをすることに慣れているため、声を使わないで伝え合うことの難しさにまず直面します。

そこで一番大切なのは、相手の目線に立ってコミュニケーションする姿勢が生まれることだと尾中さんは言います。

音声による言葉を使わないで伝えるのは、多くの人にとってほぼ初めての体験。

声を使わない“無言語”の空間では、体を使ったジェスチャーで必死に相手に伝えようとします。それでもなかなか伝わらない。この“伝わらない”ことを経験するうちに、自分本意で物事を考えていた人が、どうやったら相手に伝わるんだろう、と“相手”にフォーカスするようになるんです。

この研修プログラムは、外国人の方も参加できる「ダイバーシティプログラム」や、企業内でフラットな関係性を構築することを目指す「チームビルディングプログラム」など、参加者の目的に応じて5種類のプログラムを用意しています。このプログラムをはじめて約3年が経ちますが、行政や企業、教育機関などを対象に、昨年だけでも約40回開催するほどの人気ぶりです。

ところで、この研修で講師を務める聴覚障害者にはどんな特性があるのでしょうか?

聴覚障害者は、言語的マイノリティです。たとえば視覚障害や身体障害の方は、右に行けと言われれば、それを聞いてそちらのほうに行くことができるでしょう。しかし聴覚障害者は手話や口話法(唇の動きとかたちを読む方法)などの見えるコミュニケーションが必要なのです。

聴覚障害者はこのように言語的マイノリティの側面がある一方で、周囲をよく観察しています。たとえば電車が事故などで急停止したとします。アナウンスが聞こえないので、それが信号待ちで数分停止するだけなのか、事故で何時間も止まるのか。そうしたことを周囲の人の行動や表情で読み取ったりする。

この“聞こえない”という特性がある分、他の特性が伸びるんですよ。

基本的には1回の研修につき4時間を所用します。言葉を使わないため、外国人の方も一緒に研修を受けられます。

このサービスは自己体験による気づきがあり、企業などでも同じ仕事を手がけるチーム間によい影響があると好評ですが、実はもともと「サイレントボイス」の社内コミュニケーションを円滑にするために生まれたそうです。

現在6名の社員を抱える「サイレントボイス」には、聴覚障害者の世界や文化に触れないまま入社した社員もいます。また、一方でコミュニケーションの手段が手話のみ、という聴覚障害者もいます。双方の世界を行き来できる尾中さんが、いくら手話を教え、配慮すべきポイントをお互いに教えても、双方の理解が進まないこともあったそう。

言葉って不思議です。同じ言葉を話す人同士が団結することもできるけれど、人を分けてしまう力もあるんですよね。

でもこのプログラムをゲーム感覚ですることで、みんな自分が発見したことを言葉にして、お互いに教えたり伝えたりしようとするように変わったんです。そしてそれぞれが、聞こえる文化と聞こえない文化に関わっていこうという動機が強くなっていくようでした。

「サイレントボイス」社内。スタッフは聴者と聴覚障害者がいるため、組織が抱えている案件がどのように進展しているかすべてホワイトボードに書き出し、みんなが情報共有できるように工夫しています。

大切なのは、言葉じゃない。

いまの社会では、メール以外にもさまざまなSNSのツールでコミュニケーションの効率化がはかられています。しかし、「人間関係を築く上では、コミュニケーションの効率化を求めれば求めるほど非効率的になるんじゃないか」と尾中さんは話します。

マニュアルに書いてあるからという理由で発する「ありがとうございました」や、「申し訳ございません」。確かにこうした言葉に、いつもどれほどの感情を込められているのでしょうか。私たちはふだんどれくらい相手の立場に立って仕事を進められているでしょうか。

尾中さんは、伝えることの尊さについて、小さい頃の忘れられないエピソードを教えてくれました。

耳が聞こえない両親のもとで長男として生まれた尾中さんは、4歳で保育園に入っても周囲の友だちと言葉の意思疎通ができないため、友だちがなかなかできず、毎日泣いて帰っていました。

ある日、遠足で山登りにでかけたところ、ある男の子が尾中さんにきいちごを差し出しました。その男の子は大きなジェスチャーを交えて「おいしいね」と言ったそうです。尾中さんは音に聞く「おいしい」の意味をその時はじめて理解し、「おいしい」という言葉を覚えました。

その日、帰宅しても珍しく泣かない尾中さんに、お母さんはどうして泣かないのか尋ねました。しかし「きいちご」の手話を知らない尾中さん。2時間たってもうまく説明ができず、ついには、ふたりとも泣いていました。そこに聴覚障害を持つお父さんが帰ってきました。様子を察したお父さんは、遠足のしおりを片手にふたりを車に乗せ、遠足に行った場所を家族で再び訪ねたのです。

みんなで茂みを探したら、きいちごが見つかったんですよ。そしたらお父さんが僕を抱きかかえてくれた。もう、家族みんなで抱き合って喜びました。

言葉が通じれば、たった数秒で終わってしまう日常のささいなシーン。しかし、言葉が通じないためにひとつの出来事を伝わるのには何時間もかかりました。もしかすると、これは非効率なのかもしれません。しかしそのことで家族の絆は深まり、生涯忘れられない思い出となりました。

「人は何かを失うことで、何かを得るんです」と尾中さんは言います。その得るものの強く美しいこと。当然のことかもしれませんが、何かを失った人だけが見る美しい世界が、確かに存在しているのです。

聴覚にハンデがある子を伸ばす「デフアカデミー」

尾中さんは自身の家族を含め、聴覚障害を持つ人たちと長く接する中で、進学や就職の際に選択を狭められることが起こりうるという社会の現実にも直面してきました。

「デフアカデミー」授業の様子。

東大の大学院に行った聴覚障害のある友人がいました。僕が手話で話しかけると、物理の難しい話をうれしそうに話しはじめたんです。「こいつ、やっぱり勉強が好きなんだな」と思って、将来何の仕事に就きたいか語り合っていました。

ところが彼が障害者雇用で就職してみると、毎日おなじ単純作業ばかり。自分が学んだ専門性を生かせる職業に就くことはなかったんです。

尾中さんの中で、聴覚障害者も進学や就職で選択の機会を増やしたいという思いが募りました。そこで、聴覚障害があっても、より得意な分野を伸ばそうという学習支援プログラム「DEAF ACADEMY」がスタートしました。塾といっても、一般的な算数や国語をメインにした学習塾とはちょっと違います。

「DEAF ACADEMY」には、聞こえないから、視覚能力を伸ばそうというプログラムの一つの柱があります。視覚能力は、記憶力、速読力など学習の素地になっていく力なんです。

2017年の4月から京都で、そして9月からは大阪でスタートしたばかり。

しかし大阪校では、すぐに30名の枠が埋まるほどの人気でした。通うのは両耳40デシベル以上の聴覚障害・難聴のある小学生から高校生までの就学児。今後は未就学児を対象にしたレッスンもスタートする予定です。カリキュラムは幼児教育の専門家に依頼し、独自の教材を使用します。

しかし、尾中さんの意図は勉強とはもうひとつ別のところにもありました。

視覚能力を伸ばすことをきっかけに、得意なことをより伸ばすことをしたいんです。ここに来てがんばったことを褒めてあげて、小さな成功体験をどんどん積んで、自分に自信を持ってもらいたいんです。

日本における聴覚障害者および難聴者の推定人口から聾学校に通っている人数を割り出すと、多くの場合が地域の学校に通っているといいます。地域の学校に通った場合、「先生や友人の話している声が聴こえない」、「クラスメイトと深い話ができず、孤立してしまう」という問題があります。

特に自我が目覚める年齢になると、自分に自信が持てなかったり、自己肯定感を持つことが難しくなります。尾中さんは、学習面で小さい成功体験を繰り返し、生きていく上で一番ベースになる「心」の部分を鍛えようとしているのです。

助ける、助けられるじゃなく、相互理解のある社会へ

「サイレントボイス」では、「DENSHIN」や「デフアカデミー」で聴覚障害者が講師を務めています。一見、それは障害者の雇用として社会的によいこととみなされる取り組みです。しかし、尾中さんの意図はもっと深くにあります。

これまで、社会では障害者を雇用しようという動きを進めていて、障害者は“助けられる存在”でした。じゃあ障害がある人は、健常者を助けられないものか? と僕は考えてるんです。

聴覚障害者の中にはすごく集中力があって職人気質のある人もいる。それを活かせば、ITのプログラミングなど、これから伸びていく市場の中でできる仕事はたくさんあります。ひいてはこれまで補助金をもらっていた側の立場から、社会に対して大きな役割を担うリーダーが生まれるかもしれない。これこそ、本当の適材適所だし、社会の中でそんな流れをつくっていきたいと思っているんです。

健常者の文脈でつくられた社会の中では、何らかのハンデがあると確かに不便を感じたり、サポートが必要になります。しかし、いつもサポートされる側になったら、一体人はどんな気持ちになるのでしょう。自分も何かできることでお返しをしたいと思う人もきっと少なくないでしょう。

うちの母親は喫茶店を経営してますが、1回助けてもらったら2回助けてあげるのがモットーなんですよ。

当然のことながら、これまで苦労されたことも多かったでしょう。その中でたどり着いたこの言葉は、金のように輝いて聞こえます。逆に見えることや聞こえることが当たり前の私は、自分が受けている数多くのサポートに気づいていません。

インタビューの間、尾中さんの中に自分を育ててくれたご両親に感謝と尊敬の気持ちが溢れているのを感じました。あらかじめ失われていることで見える景色。それは世界でひとつだけのオリジナルで豊かな風景だと、改めて私は感じたのです。


補視技術で視覚障害者が世の中を「見る」

2017年10月19日 03時13分20秒 | 障害者の自立

聴覚障害者の聞き取りを補助する補聴器があるなら、視覚障害者の視力を補助する補視器を開発できるのだろう。10月15日の国際視覚障害者デーの直前に行われた第2回北京国際医学工程大会でその答えが明らかになった。新華社が伝えた。

中関村医学工程転化センターの副主任は同大会で、「新型の装着可能な補視器は視覚障害者が目の前の物体を『見る』ことに役立つ」と話し、海外から導入したこの先端技術を発表した。

補視器技術チームのメンバーによると、頭に着用するカメラと舌に載せるセンサーからなるこの補視器は、カメラから得た映像データを舌で感知できる電気パルスに変換するという。

北京朝陽医院の副院長は、「数時間立てば馴染めるようになる。視覚障害者は補視器で周囲の物体の形状や大きさ、運動軌跡などの情報を判断することが可能になる。これは視覚障害者の生活を向上させ、特に数多くの全盲者たちに利便性をもたらす」としている。

この新しい技術を五カ月体験した中国盲文図書館のスタッフは日頃の試用体験について、「白杖で目の前に障害物があることは分かったが、一体どのような障害物なのか全然分からなかった。この補視器のお陰で、障害物が『見える』ようになった」と話した。

北京市盲人学校の中学2年生の楊さんは、「補視器が歩行の際に大変役立った。普段あまり歩かない道を歩くとき、障害物があることを教えてくれる。最初は舌が少し馴染まなかったけど、徐々に慣れていった」と話した。

中国大連市第三人民医院眼科の先生は、「テストによると、補視技術で『大』、『小』、『人』のような簡単な漢字を識別することもできる。人工網膜の移植などを通して失明を治療する方法に比べて、補視技術はリスクが低く、操作が簡単といった特徴がある」としている。

イノベーション駆動は中国医薬産業のモデルチェンジやアップグレードの新たな動力になりつつある。中関村医学工程転化センターは医薬科学技術の起業革新サービスのプラットフォームとして、科学技術成果の転化を促す共同革新メカニズムを引き続き完備させ、障害者治療に関する先端技術成果を一層支援して導入しようとしている。

2017年10月18日   Record China