昨日のテレビ朝日『大下容子ワイド!スクランブル』で、韓国政府が東京五輪・パラリンピック会場に旭日旗(きょくじつき)の持ち込み禁止を国際オリンピック委員会に訴えたことを取り上げた。驚くことに、番組の論調は一方的に韓国政府を非難するものだった。
この番組直後のツイッターへの書き込みは 次のようなものだった。
「韓国による旭日旗騒ぎも下記の韓国の病気による。韓国は、このように精神病罹患者が異常に多い。こんな国は、自治を認めるべきでない、入院させる(国連による監視・管理下に置く)べき。」(シベール)
「ワイドスクランブル大丈夫か??まともなのは柳澤さんだけか。」(Kazunari Suzuki)
柳澤さんとは元NHK解説委員の柳澤秀夫のことである。番組では、彼を除いて、ツイッターのシベールのような極端な嫌韓発言のオンパレードになった。
旭日旗は日本の国旗ではない。戦前の、帝国陸軍の軍旗、そして、帝国海軍の軍旗である。柳澤の指摘したように、戦後は、日本の極右が旭日旗をシンボルに使っていた。いまでも、極右の街宣車(宣伝カー)が旭日旗をかかげ、軍艦マーチを大音声でかけ、住宅街に侵入し、ターゲットの人に嫌がらせする。
第74代総理大臣になる竹下登は、1987年、極右の街宣車のしつこい追い回しにまいり、自民党幹部の金丸信が広域暴力団の稲川組に仲介を頼み、極右の皇民党と和解した。大金を渡したと言われるが、この件で警察は動かなかった。仲介した7人の自民党幹部の名前は、1992年に別件で訴訟された皇民党幹部の供述調書で明らかになった。
旭日旗は、国旗でなく、多くのひとに嫌な思いを起こさす戦争の旗である。英語では軍旗を戦争の旗(war flag)とよぶ。オリンピック、パラリンピックでは、スポーツ応援だから、国旗の日の丸を振ればよく、わざわざ、軍旗の旭日旗をふる必要はない。その意味で、ナチスの旗ハーケンクロイツを振るのと同じで、軍国主義、極右であることを自己主張していることになる。
旭日旗は自衛隊旗ではない。ところが、海上自衛隊は旭日旗を「自衛艦旗」として使う。昨年10月の韓国での国際観艦式で、韓国政府が自衛艦旗「旭日旗」の掲揚自粛を求めたが、日本政府は海上自衛隊の護衛艦派遣を見送り、韓国政府に喧嘩を売った。戦争を否定する憲法をもつ日本が、自衛艦に戦前の軍旗をかかげる必要があるのか。
私は、日本国内から、旭日旗を「自衛艦旗」として使うことの自粛の声が上がらなかったことをとても残念に思う。
[追記]
まともな人は、みずからを「保守」と言っても、「右翼」とはもうしません。「韓国人」と言っても、「鮮人」とはもうしません。「日の丸」をかかげても、「旭日旗」をふりません。残念ながら、「右翼」みずから、「右翼」が嫌われる行動を起こしているのが現実です。