猫じじいのブログ

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改憲 拮抗する世論、むかし、改憲派と護憲派に意味があった

2021-05-06 22:49:27 | 憲法


ことし5月3日の朝日新聞に『改憲 拮抗する世論』という記者解説が載った。

私は、改憲一般論で世論調査の調査すること自体がオカシイと思う。憲法は、国民をみちびく方向とそのための政治的基本原則を示すものである。憲法に改憲規定がある以上、いま何を変える必要があるか、を問わずに、改憲が必要か否かを問う世論調査は、まともな新聞社がすべきことではない。

2019年、佐伯啓思が、朝日新聞に『「〇〇ごっこ」する世界』という「護憲派」と「改憲派」の争いを揶揄する小論を寄稿している。

「改憲派」は、アメリカの押し付けである日本国憲法を廃止し、日本人の手で憲法を制定するということで、政治の舞台に出てきた。その旗をふったのが、安倍晋三の祖父、岸信介である。その新しい憲法とは、天皇を頂点とする戦前の「国体」に戻り、また、大日本帝国軍を復活するものだった。

「護憲派」とは、アメリカ占領軍が制定に関与したとしても、日本国憲法の国民主権、人権、民主政、戦争放棄を支持し、戦前の体制に戻ることに反対するものだった。

だから、本来、「改憲ごっこ」「護憲ごっこ」と佐伯に揶揄されるものではない。

しかし、現在の若い世代は、自民党政権が検定した教科書で育ってきたから、何が争点かがわからない。改憲規定があるから改憲するのはあたりまえでしょう、となる。自民党の若い世代も、改憲で自分たちが何をしようとしているのか、わからなくなっているように私には見える。ただ、保守だからマッチョなふりをしたいだけのように見える。

軍隊を日本がもって何をしたいのだ。強いふりをしたいだけではないか。中国や米国に攻めていきたいのか。米国が世界各地に軍隊を送って、より混乱した世界を創り出すのを見ていないのか。

憲法に非常事態条項を作って、国民の自由を奪って何をしたいのか。政府が国民より賢いと、どうして断言できるのか。新型コロナ感染対策で間違いばかりを犯す政府を見ていないのか。

老人は戦前の日本の権力者の誤りを、実際に目撃したり、親から目撃談を聞いているから、当然、「護憲派」になる。戦後生まれの私も、子どものときには、空襲で町が焼かれる夢や特高警察に追われる夢や飢えで苦しむ夢をよく見たものだ。

もちろん、いまの憲法に問題がないわけではない。

旧仮名遣いのままでは、若い人には読みにくいだろう。現代仮名遣いにした方がよいだろう。これは、単に表記の変更だから改憲ではない。原本を変更せず、若者向けの読みやすい表記の流通版を加えたいだけだ。

個人の尊重や人権の条項の主語は、人類普遍的なものだから、「国民」ではなく「人」にすべきである。移民や難民にも人権がある。これは改憲を要する。

憲法に「義務」という言葉を残すべきでない。日本国憲法にある「義務」は戦前の大日本帝国憲法の「第2章 臣民権利義務」の名残である。これも改憲を要する。

天皇を国の仕組みから完全に取り除くべきである。天皇が政府によって操られ、政権にとって都合の良いときに国政選挙ができるという、現憲法は国政の腐敗を招く。象徴天皇という いかがわしい制度はやめるべきである。天皇家は1つの名家として自分の力で生きていけばよい。これも改憲を要する。

しかし、自民党の「自由」と「平和」と「民主政」を奪う改憲にはくみできない。

朝日新聞もそろそろ天皇制の廃止の世論調査をしたらどうだろうか。