猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

予約システムにログインしてわかった新型コロナワクチン接種体制の問題

2021-05-18 23:26:06 | 新型コロナウイルス

私の妻がワクチン接種予約をしたいというので、iPhoneで予約するのを手伝った。結局、予約できなかったが、予約システムの問題点がわかった。

第1の問題は、ワクチンの供給が不確実なので、予約できる枠が十分なく、早く予約システムに入った人だけが、予約できるようになっている。供給が不確実なのに予約できるのもまずいから、システムとして仕方がない。

しかし、そうなら、現在、確保できたワクチンの供給量はどれだけか、政府は、自治体別に公表すべきであり、また、今後の見込みも明らかにすべきである。予約が大変なのは、ワクチン供給量がスケジュールベースではメドが立っていないことにある。政府は、ちゃんと、ファイザー社やモデルナ社から出荷スケジュールの確約をとらないといけない。

菅義偉は1日百万回というだけで、スケジュールベースの供給量の確保をしておらず、医療従事者や予約システムのせいにしている。

第2の問題は、菅義偉が、河野太郎や総務省の役人や日本医師会を叩いて、ワクチン接種体制をおし進めているが、接種体制が非常に複雑になっている。ワクチン接種体制は、集団接種会場と個別接種と分けられる。集団会場は、自衛隊に依頼した大規模会場と地方自治体が準備した中規模会場とに分けられる。前者がモデルナ社のワクチン、後者がファイザー社のワクチンとなっている。個別接種とは病院が接種業務を受けるわけであるが、どの病院が引き受けて、どれだけの接種枠があるのか、その計画が公表されていない。

河野太郎は自分の責任は供給体制だけだと言っているが、その気持ちがよくわかる。菅は自分の思いつきで接種体制を総務省(旧自治省)に命令し、戦略的思考にかけているからだ。戦略的とは、筋道を立て、みんなで討議し、準備し、実行するということである。

接種体制にも接種計画にも誰も責任をもっていない。きょうのテレビで、日本歯科医師会の会長が総理官邸を訪れた後、菅義偉に敬語を使っていたが、悪いのは菅で、敬語を使う必要ない。

第3の問題は、予約システムの問題になるが、そのまえに、第1と第2の問題が予約システムに迷惑をかけている。とくに、接種体制の複雑さと不確実性である。どんな交通機関の予約システムも、飛行機や新幹線が座席の数が確定していて、時間どおりに動くことを前提にしている。また、接種体制の複雑性にともなって、予約システムからはずれる個人病院の接種もあるのではないか。

そのことを抜きにすると、予約システム自体の最大の問題は、どこがシステムを開発し、どこがシステムを運営しているのか、公表されていないことである。それでは、予約システムの不備の責任が誰にあるのか分からなくなる。誰が予約システム開発・運営で大もうけしたのだろうか。どこかの人材派遣会社や旅行会社が自治体から開発・運営を請けて、実際には、下請け、孫請けに仕事を飛ばしているのだろう。

予約システムのもう一つの問題は、予約システムは、政府や地方自治体の情報システムとリンクしていないことである。実際に予約システムに入ってわかったのは、予約システムは、自治体が発行した整理券番号だけを受け取って、できていることである。だから、予約においては、なりすましが簡単にできる。

もし、予約システムが政府や自治体の中で運営されているなら、もう少し個人情報を予約システムが利用できたのではないかと思う。

横浜市から受け取った整理券番号は、地域番号と個人番号とチェックデジットからなっている。したがって、実在する地域番号とチェックデジットのルールを守れば、簡単に予約システムにはいれる。最初のパスワードとして、誕生日yyyy㎜ddを入力することになっているが、そのデータを地方自治体からもらっていず、システムとしてはチェックしていない、と推定する。本人確認は、メールを送り返すことでチェックしているだけで、一度、それを行ったあとは、していない。

したがって、システムとしては、非常に軽く、簡単なものになっている。

さらに心配するのは、標準のデータベース、IBMとかオラクルとかのデータベースを使っていないのでは、ということである。簡単にハッカーに情報を抜き取られたり、破壊されたりするだろう。予約情報のバックアップなどはしているのだろうか。

さらにさらに、iPhoneからとパソコンからの予約を試みた結果、わかったことは、画面構成がいっしょであることだ。スマホからでも同じだろう。iPhoneやスマホの画面を小さいから、一部の画面しか見えない。そのため、入力項目やシステム応答を読み落としやすい。

すなわち、予約システムの画面設計の質が悪いと言える。

画面設計が悪いから、ワクチン接種予約マニュアルを読んだうえで、システムに入ることをすすめる。たとえば、
 □ 上記の内容を了解してログインします
を見落とし、□にチェックをいれないと、何度試みてもログインできない。私の妻は、ここで、つまづいて、先に進めなかった。

もう少し、メディアもワクチン接種体制や予約システムで政府を批判して良いと思う。すべて、菅義偉の個人的資質から問題が発生している。

[補遺]
深夜の日テレで、有事だから、という意見が堂々と述べられていたが、現状では混乱が起きるような事態ではない。菅義偉が独りでかき回しているだけである。自衛隊による大規模接種と地方自治体による集団接種との二重予約が問題になっていたが、地方自治体の予約システムを通じて、自衛隊の大規模接種に予約できるようにすれば、二重予約なんて発生しない。

システム構築の立場からすると、少しも難しいことではなく、パフォーマンスに何も影響しない。地方自治体の予約システムから自衛隊の予約システムに画面を飛ばせばよいだけである。今回、デジタル担当大臣 平井卓は何を菅に直言したのか。平井卓も菅義偉も単なるごろつきではないか。

[追記]
毎日新聞が、5月7日の記者会見で河野太郎がつぎのように言ったと報道していた。
《大規模自治体では需要が大きく予約システムが容量オーバーになっていると説明。「自治体担当職員は努力し、コールセンターも頑張っている。できるだけクレームはお控えいただければと思う」と話した。》

予約システムの問題ではない。私がやってみると、パソコンやiPhoneからすいすいとシステムに入れる。しかし、横浜市の予約枠はすべて埋まっており、予約できない。自治体担当職員やコールセンターの問題ではなく、政府の責任である。供給体制に根本的欠陥があり、現状は、選挙対策で、やっているフリをしているだけである。

現状は、EUがファイザー社ワクチンの輸出枠を許可しただけで、実際の出荷は別である。また、国内のワクチンの保管と輸送体制が公表されていない。メディアは、実際の日本到着量はどれだけなのか、保管センターはどこでどういうふうに末端に配布されるのか、供給網の裏付けをとるべきである。