悠山人の新古今

日本初→新古今集選、紫式部集全、和泉式部集全、各現代詠完了!
新領域→短歌写真&俳句写真!
日本初→源氏歌集全完了!

短歌写真242 神無月

2006-10-30 05:40:00 | 短歌写真
2006-1030-yts242
神無月桜の色の空に映え
眺むるままに歌詠せんか   悠山人

○短歌写真、詠む。
○初句から二句へ、「かんなづきざくらの」「かんなづき さくらの」、いずれにも。
□かんなづき さくらのいろの そらにはえ
  ながむるままに うたよみせんか
【写真】image197 に同じ 。

image197 十月桜

2006-10-30 01:00:00 | images
2006-1030-yim197
title : so-called October cherry 
yyyy/mm : 2006/10
memo :十月桜。じゅうがつざくら。神無月桜、so-called October cherry は、私の表現。霜月桜になっては、と少し慌てた。東御苑で撮影不調だった花。
【写真】昨日、植物見本園で。

【小論】夢よりも-和泉式部日記

2006-10-30 00:00:00 | literature

『和泉式部日記』開肇初節:
 夢よりもはかなき世の中を、嘆きわびつつ明かしくらすほどに、四月(うづき)十余日にもなりぬれば、木(こ)のしたくらがりもてゆく。築土(ついひぢ)のうへの草あをやかなるも、人はことに目もとどめぬを、あはれとながむるほどに、近き透垣(すいがい)のもとに人のけはひすれば、たれならんと思ふほどに、故宮(こみや)にさぶらひし小舎人童(ことねり わらは)なりけり。
【悠山人試訳】この世で儚いものと言ったら夢。その夢よりも儚いあの方(為尊[ためたか]親王)との日日を、切ない気持ちで過ごす毎日です。そうこうしているうち、四月の半ばともなれば、木木も緑を濃くして陰もくっきり。土塀の上の雑草も青青と気持ちがいいもの。誰も見向きさえしないけれど、なかなかの風情だこと、と眺めていました。ふと気が付くと、塀の竹垣の向こうに人の気配。誰かしらとよく見れば、あの方によく仕えていた、使い走りの少年ではありませんか。
【和泉式部】①生涯…新古今集現代詠053 世の中が (2005年09月08日条)参照。
②恋する女、遊び心…同055 冬が来て(2005年09月10日条)参照。
③同時代人・紫式部(日記)の評…「和泉式部といふ人こそ、おもしろう書きかはしける。されど、和泉は、けしからぬ方こそあれ、うちとけて文はしり書きたるに、その方の才(ざえ)ある人、はかないことばのにほひも見え侍るめり。うたは、いとをかしきこと、ものおぼえ、うたのことわり、まことの歌よみざまにこそ侍らざめれ、口にまかせたることどもに、かならずをかしき一ぐしの目にとまる、よみそへ侍り。それだに、人のよみたらむうた、難じことわりゐたらむは、いでや、さまで心はえじ、口にいとうたのよまるるなめり、とぞ見えたるすぢに侍るかし。はづかしげの歌よみや、とはおぼえ侍らず
。」
野村精一(校注者)訳…和泉式部という名で皆に知られている人の方が、前に述べた斎院中将などよりはずっと面白い文章を書いている。もっともこの和泉には、異性関係では感心できぬところがあって、そういう相手との手紙など書き流したものは、実に見事な才能を示しており、ちょっとしたことば遣いでも、実に見映えがするようだ。お得意の歌の方は、そう、たいしたものとも言えようが、まあ古典についての知識とか、理論的な面では、本当の意味での歌人というようなものではなさそうだが、とにかく、何ということなしに口をついてでるいろいろなことばのなかに、必ず一つ二つの興を引くようなひとことが、人にわかるように付け加えられている、というような歌風だ。そうはいっても、他人のよんだ歌に対して、とやかく批判がましい議論など平気な顔でやっているらしいのを見ると、さてさて、それほどのものが判っているというのでもなさそうだ。要するに、口から歌が自然にとび出てくる、といったような人なのだ。決してこちらが脱帽しなければならないような人ではなく、評判通りとは言えないと思う。
悠山人補記…紫の消息文は、手厳しいことで有名。当たるを幸い、という感じ。「紫式部のライヴァルに対する敵意」(校注者) 和泉とは文通だけの間柄。「理」の紫、「情」の和泉、といったところか。
【memo】to the readers: 名詩・名文とされるものは、まず声に出して読んでみる。(時と場所を選んで) 分かっても分からなくても、ともかく朗誦・朗読する。何か、どこか、自分の心にひびくものに出会うはず。名作と出会う瞬間です。巷にあふれる異性のなかで、ただひとり「波長が合う」人に出会うとき・・・胸がときめきますよね。あれです。この『和泉式部日記』、出だしからして、私はもう胸の高まりを抑え切れないくらい。そう、夢多き少年に戻ってしまうのです。和泉の歌集を詠み解きを始めるにあたって、まずは彼女の文章の片鱗をと、非才の現代口語訳を添えて、紹介しました。