日々礼讃日日是好日!

まほろ界隈逍遥生々流転日乗記

西暦2015年そして平成27年は、昭和90年、大正104年、明治148年

2015年01月03日 | 日記
 新しい年、夜明けから朝方ののゆるやかな日差しは次第に冬雲にさえぎられ雨となり、お昼前くらいからは雪が降り出してきて、中庭植栽の上にはうっすら白く降り積もった。関東では、年明け初日の雪降りは九年ぶりということだけれど、まあこんな新年も清々しくていいものだと思う。

 元旦の新聞に目を通す。ニュースというよりも広告特集や企画記事欄に目が行くのは、新年ならではという気がする。その朝日新聞広告特集のうち、「住まいの未来」という住宅関連の広告記事に間が止まった。「地域の人々に愛される風景をかたちづくる家を」と題された、建築家の妹島和世さんへのインタヴュー記事。妹島さんといえば、11月に見学する機会のあった金沢21世紀美術館や豊田市生涯学習センター逢妻交流館などの公共建築で知られるが、その原点は住宅建築にあるという。こんなさりげない発言が印象に残る。
 「私は建物を設計する時、その地の風景に溶け込み、その地で暮らす人々に愛着をもってもらえるようなものを造りたいと思っています。」
 「自分にとって理想の家を考えることは、自分の生き方や、社会や自然とのかかわりを見つめなおすことでもあります。」
 建築において風景とか自然という環境に関わるコトバが重要なキーワードとして出てくることに象徴されるのだけれど、いまの時代意識を的確に捉えていて興味深くおもしろいことと思う。妹島さんは、1956年茨城県日立市生まれである。

 それから、ふたつの音楽関係の広告について。ひとつは、朝日新聞では5月15日発売予告以来の竹内まりや新作アルバム「TRAD」の一面カラー全面広告。今回は、元旦に合わせての「大ヒット御礼!」と紅白結び水引きをあしらったジャケット写真入り。とくに内容についてのメッセージはなく実質本位のストレートな告知文に、良質の楽曲そのものでロングセラーを目指そうとする制作側の意図が感じられて、いまどき潔いくらい。せっかくの機会だからご本人の何かファン向けメッセージがほしいところだけれどね。
 もうひとつが、同世代のサザンオールスターズのニューアルバム発売告知の見開き全面かつ両面広告だ。3月31日、10年ぶりとなる新譜発売後の全国ツアー予定もあわせて告知されている。背景にサクラ色の富士山を合わせたメンバー5人の写真が正月らしくて素直におめでたい!最初の一面には、新譜「平和の鐘が鳴る」の歌詞が、東京タワーや虎の門ヒルズの映った都心の風景写真上空部分に掲げられていて、これは戦後70年目の日本の状況を意識したメッセージなのかと思ったりする。
 その一節にある「ここにいるのは私独りじゃない 過去と未来が繋いだこの命」とは、竹内まりや「いのちの歌」のなかの「生まれてきたこと 育ててもらえたこと 出会ったこと 笑ったこと そのすべてにありがとう この命にありがとう」とも共通する。すこし年上の世代の所信表明といったらおおげさかもしれないけれど、そんな生き方を肯定して捉える心境を感じてうれしくなった。

 そうして、この日午後は家族三人そろっての書初め会。それぞれが今年の目標や心境など好きな言葉を書きおろす。わたしは、変わらずに謙虚かつ前向きな姿勢でいこうと、「日々是好日」「和光同塵」の二つ、ともに禅語で新年の心境をさっぱりと。
 夜は、アルコールで眠くもなってきたのと翌日恒例の江の島神社詣でに備えて、早々と休むことにした。こんなふうにして、ほぼ一日家に籠ったまま、今年の元旦は過ぎていったのだった。


 季節が巡って、ちかくの横浜水道みち脇に咲きはじめたロウバイ。青空と黄色の花びらの対比に馥郁とした香りが漂う。