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まほろ界隈逍遥生々流転日乗記

立秋すぎのbossa nova ライブ

2017年08月12日 | 音楽
 今週はウイークデーの仕事を定刻で切りあげて、近くの小さなライブハウスへでかけた。そこでお気に入りの演奏会があるので、聴きにいくことにしたのだ。久しぶりに聴く中村善郎のギターでボサノヴァのスタンダード、共演はピアニストのフェビアン・レザ・パネ、静まった夏の夜にふさわしいノスタルジックで静謐な時間が流れる。

 善郎さんは明るい青のポロシャツに藍色のコットンパンツ?ジーンズ?、黄土色のスリップオンの靴、一方のパネさんはアース色のTシャツに同系統のコットンパンツ姿で登場。このふたりのデュオの音は、鳴り出した瞬間にそれとわかるなんとも言えない“安心感”のような雰囲気があって、とても落ち着いた気持ちにさせられる。二、三曲演奏したあとにパネさんが立ち上がって、ピアニカを手にした。アコーディオンの伴奏のようで、懐かしさを思い起こさせる音色がボサノヴァの世界とよくとけあっていく。

 休憩後の冒頭、中村さんがひとり登場しておもむろに弾きだしたギターのイントロにはっとさせられた。ああ、この音「私の心を傷つけるために」は、2000年8月にリリースされた「SIMPLES」の一曲目で、生い茂るシダの密林のなかで赤い絞り染めの半袖シャツを着てギターを抱えた善郎さんの横を向いた立ち姿が印象的なジャケット写真のCD、もうあれから17年が過ぎてしまったのか。最近思い出したようにドライブ中によく聴いていた曲だ。ここちよく刻まれるリズムに、深みのあるヴィーカルも合わさって、ライブの密度の濃い臨場感で空間が満たされてゾクゾクしてきたのを感じる。そしてピアノソロはリリカルに、まるで外の熱気を覚ます急な雨が降り出したかのよう。
 
 ふたたびデュオに戻って、ギターとピアノによるインストルメンタル曲のあとに「コルコバード」「バイーア」と続き、アンコールは「ディサナフィード」で締めくくり。もう時計は22時を回っている、いいライブ、やはり聴きに来てよかった。



 夏のスカイラインを切り分ける二景、まほろ郊外をすこし車で走ればこんな風景に出会える、というわけで相模川ちかくにひろがるヒマワリ畑と青々と伸びた稲が風になびく水田。
 これをハワイにいる友人に送ったらしばらくして返信をくれて(時差を感じる)、このヒマワリ畑をみてS.ローレン主演の映画「ひまわり」を連想したとあった。それほど広大ではないが、ニーノ・ロータの哀愁溢れるテーマ曲が広大なヒマワリ畑風景に被って、なんとも印象的ただったのを思い出す。ちなみに水田のほうには反応なしで、これは海外生活が長いからなのだろうか、瑞穂の国の住人としてはちょっとさびしいかな。
(2017.08.06 座間キャンプさきの座架依橋付近にて)