福岡からの帰路に途中下車して、大津・名古屋と友人を訪ねての巡礼の旅。
八日の夜六時半すぎにJR大津に到着してしばらく改札あたりで待っていると、単身赴任中のアツシが迎えに来てくれる。彼はその日夕方、千葉の自宅からこちらに戻ってきたばかりだという。まずは八月末以来の再会を喜び合う。大津でアツシと会うのは十年数年ぶりくらいか、以前彼がやはり仕事でこちらに転勤になった際、私の仕事上の研修で大津に出張したとき以来のことになる。当夜の宿泊先が決まっていなかったので、駅から琵琶湖後方に少し下った県庁前通りに面したビジネスホテルにテェックイン、目の前が大津祭で知られる天孫神社だった。その足ですぐに二人で駅前の隠れ家風の居酒屋へ。互いの仕事のこと、家族のこと、老後!のことと年代相応の話題で23時近くまで語り合う。
翌九日朝、ホテルで朝食を採ってから駅前で待機して出勤するアツシを見送る。昨夜と打って変わって黒のスーツ、コートのビジネスマン姿、見送りは昨日夜予告しておいたので、笑顔で「本当に見送ってくれるんだ」と感心しつつも、半ばあきれた表情?こちらは、これから朝の散歩に出かけるスタートとして、ちょうどいい契機にさせてもらったよッ!
線路下通路を抜けて駅の反対山側にでて、ホテルテトラ大津のロビーで情報収集し、次回は眺めの良いここに泊まろうと思う。ホテルから国道一号線の脇を歩いてちょうど駅ホームを見下ろすような位置のさらに高台へ。大津の都心が一望できるあたりだ。一号線を京都方面に歩いていくとカーブ手前の山の頂に古い洋館が見えてきた、特徴のあるベランダと煙突、ほどよい古さ加減は、ヴォーリーズ建築に違いない。
そう思うと道路の反対側にわたって、坂の小道を洋館に近づいて表札を拝見「M」とあり、すこし階段を上ると瀟洒なデザインの門の奥が洋館の入り口だ。このあたりの高さからだと市街が見渡せて琵琶湖対岸の山並みも見渡せることだろう。お庭もすこしありそうだが午前八時半、これ以上の探索は難しいとあきらめて、小道のさらに上ると寺院墓地が突き当りだ。
そこで一服していると住職の奥さんらしき人が声をかけてくる。神奈川からきての散歩中で、入り口の洋館が気になっている話をするとしばらくしてわざわざ追いかけてきて、Mさんに聞いて下さるとのこと。恐縮しているうちに先のMさん宅へ、階段を上って洋館の玄関へ入っていく様子。ご近所なのでお知り合いの強みだあ、と感心していると、どうぞいらしてください、との案内がある。素敵な感じの門を括らせていただくと品のよさそうな笑顔のおばあちゃんが玄関に佇んでいらっしゃる。住職の奥さんは引き合わせるとすぐに行ってしまうので、こちらがドギマギする。
玄関でほんのすこし話を伺わせていただくと、間違いなく「ヴォ―リーズさん」(親しみと尊敬を含んだおばあちゃんのことば)の設計で、昭和5年竣工とのこと。いまでもよく手入れされた外観、建て主の品格が伝わってくる。手を入れて大事に住まわれ続けてきたことがうかがわれる。昭和初期、できた当時の眺望は高層ビルがある現在よりもはるかに素晴らしく、国道の交通量もさほどではなかっただろうから、さぞかし快適だったに違いない。
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朝日に輝くM邸を国道1号下から見あげる。まさしく、今回の大津途中下車のハイライト、思わぬヴォ―リーズ建築住宅との出会いに大いに感激した。本邸の右手の山なりに離れの茶室が見える。
さて、次はこの散歩はまだ続き、旧東海道沿いの老舗を尋ねたりして10時にホテルをチェックアウトして、近くの昔ながらの雰囲気のおばちゃんがカウンターのコロラドコーヒーで一服し、お昼前に名古屋へ移動して途中下車する予定だ。もうひとつの大きな巡礼目的のために。
八日の夜六時半すぎにJR大津に到着してしばらく改札あたりで待っていると、単身赴任中のアツシが迎えに来てくれる。彼はその日夕方、千葉の自宅からこちらに戻ってきたばかりだという。まずは八月末以来の再会を喜び合う。大津でアツシと会うのは十年数年ぶりくらいか、以前彼がやはり仕事でこちらに転勤になった際、私の仕事上の研修で大津に出張したとき以来のことになる。当夜の宿泊先が決まっていなかったので、駅から琵琶湖後方に少し下った県庁前通りに面したビジネスホテルにテェックイン、目の前が大津祭で知られる天孫神社だった。その足ですぐに二人で駅前の隠れ家風の居酒屋へ。互いの仕事のこと、家族のこと、老後!のことと年代相応の話題で23時近くまで語り合う。
翌九日朝、ホテルで朝食を採ってから駅前で待機して出勤するアツシを見送る。昨夜と打って変わって黒のスーツ、コートのビジネスマン姿、見送りは昨日夜予告しておいたので、笑顔で「本当に見送ってくれるんだ」と感心しつつも、半ばあきれた表情?こちらは、これから朝の散歩に出かけるスタートとして、ちょうどいい契機にさせてもらったよッ!
線路下通路を抜けて駅の反対山側にでて、ホテルテトラ大津のロビーで情報収集し、次回は眺めの良いここに泊まろうと思う。ホテルから国道一号線の脇を歩いてちょうど駅ホームを見下ろすような位置のさらに高台へ。大津の都心が一望できるあたりだ。一号線を京都方面に歩いていくとカーブ手前の山の頂に古い洋館が見えてきた、特徴のあるベランダと煙突、ほどよい古さ加減は、ヴォーリーズ建築に違いない。
そう思うと道路の反対側にわたって、坂の小道を洋館に近づいて表札を拝見「M」とあり、すこし階段を上ると瀟洒なデザインの門の奥が洋館の入り口だ。このあたりの高さからだと市街が見渡せて琵琶湖対岸の山並みも見渡せることだろう。お庭もすこしありそうだが午前八時半、これ以上の探索は難しいとあきらめて、小道のさらに上ると寺院墓地が突き当りだ。
そこで一服していると住職の奥さんらしき人が声をかけてくる。神奈川からきての散歩中で、入り口の洋館が気になっている話をするとしばらくしてわざわざ追いかけてきて、Mさんに聞いて下さるとのこと。恐縮しているうちに先のMさん宅へ、階段を上って洋館の玄関へ入っていく様子。ご近所なのでお知り合いの強みだあ、と感心していると、どうぞいらしてください、との案内がある。素敵な感じの門を括らせていただくと品のよさそうな笑顔のおばあちゃんが玄関に佇んでいらっしゃる。住職の奥さんは引き合わせるとすぐに行ってしまうので、こちらがドギマギする。
玄関でほんのすこし話を伺わせていただくと、間違いなく「ヴォ―リーズさん」(親しみと尊敬を含んだおばあちゃんのことば)の設計で、昭和5年竣工とのこと。いまでもよく手入れされた外観、建て主の品格が伝わってくる。手を入れて大事に住まわれ続けてきたことがうかがわれる。昭和初期、できた当時の眺望は高層ビルがある現在よりもはるかに素晴らしく、国道の交通量もさほどではなかっただろうから、さぞかし快適だったに違いない。
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朝日に輝くM邸を国道1号下から見あげる。まさしく、今回の大津途中下車のハイライト、思わぬヴォ―リーズ建築住宅との出会いに大いに感激した。本邸の右手の山なりに離れの茶室が見える。
さて、次はこの散歩はまだ続き、旧東海道沿いの老舗を尋ねたりして10時にホテルをチェックアウトして、近くの昔ながらの雰囲気のおばちゃんがカウンターのコロラドコーヒーで一服し、お昼前に名古屋へ移動して途中下車する予定だ。もうひとつの大きな巡礼目的のために。