修身と言う科目があった。
今でいう、道徳である。
字の通り、世の中の役に立つ様な善良な人間になるための、身の修め方を学ぶものであった。
大昔から、この様な考え方はあったらしく、別に昭和になって、突然、現れたものでは無い。
ただ、身の修め方と言っても、時代の考え方によって変わることはあったらしい。
儒教的な考え方、キリスト教、仏教、その他の宗教、権力者の考え方などによって、変わったそうである。
mcnjが入学した当時は、修身が、筆頭科目で、最重要視されていた。
どんなことを習ったのか、忘れてしまったが、「ニッポン ヨイクニ キヨイクニ。セカイニ 何とか ツヨイ クニ。」
こんな意味の言葉が、最初の方にあったことを覚えている。
後で知ったことであるが、明治以来、修身の内容は、何度か変更されていて、mcnjが習った修身は、最後の修身で
あった。
昭和16年、日本が対米戦争に突入した年に変更になり、昭和22年の終戦まで使用されていたものである。
終戦により、修身の内容は、当然変わったはずであるが、GHQの執った方法は、修身の、全面否定であった。
修身以外でも、国史、地理などは、大きく変更された。
教科書を作り変える時間が無かったのか、生徒の持っている教科書の不適切な文言を抹消させるのである。
習字用の硯で墨を摺らせ、不適切な部分に塗らせるのであった。
墨を含ませた毛筆に、鉛筆を逆さにして宛木として、教師の教える部分まで、線を引かせた。
昨日まで、ここは、大切だから、良く覚えろと教えられた所を、ここは、間違っているから、消せと言われたのであ
る。
小学2年の身には、どうして間違っているのかもわからずに、ただ、言われた通り、線を引くだけであった。
おそらく、修身の教科書は、全面的に、間違いを指摘され、GHQに回収させられたのではないかと思う。