不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

台湾ワン!(Taiwan One!)

台湾にまつわる様々な話、中国語教室の出来事、日々の生活...

自殺/他殺問題

2020年10月02日 | こう言うんだ!~リアルな中国語
この頃、自殺問題で激震する日本の芸能界。不謹慎かもしれないが、今回は「自殺/他殺問題」を取り上げる。でも、そんな暗い話ではないので、どうぞ軽い気持ちでお付き合いください。

とある日のレッスン。生徒がスーパーでカットフルーツを買ったという話になった。「カット」の中国語はなんというのかと問いかけると、「確かにツイッターで『殺』すを見た気がするから、『殺』ですか?」との返事が返ってきた。

そういえば、私も地元台南でバスの車窓から一度だけ見たことがある。「自殺〇〇元 他殺〇〇元」のようなことが書いてあったな。しかし、見かけたのが一瞬だったので、さすがに写真を撮るのが無理だった。

くだんの生徒がのちにツイッターでみつけた写真を送ってくれた。写真の出所:台湾史.jp
「鳳梨 自殺50 他殺60」と、二度見しちゃうようなセンセーショナルな表現ですよね。実はこれ、正式な中国語ではなく、台湾語から来たものだ。



「果物を切る」の「切る」は「東方台湾語辞典」によると「刣」と書き、発音は中国語の「tai3」に近い。「①(刃物で)切る」と「切り殺す」などの意味をもつ。



一方、中国語の「殺」は「東方台湾語辞典」の②の意味はあるが、①の意味はない。「以刀或武器使人或禽獸等失去生命」(刀や武器などで人または鳥獣の命を失わせる)
萌典/殺



同じ「萌典」で台湾語の「刣」を検索すると、前出の「東方台湾語辞典」と似たような内容が載っている。
1.宰殺,屠宰()
3.剖開,切開.指切水果(切り開く。果物を切ることを指す)
萌典/刣


では、もし台湾語を使っているのなら、なぜ「刣」の字じゃないのかの問題が浮上する。それは、台湾語はしゃべる専門の言語で、文字として表記する場合は、中国語の漢字を借りることが多いからだ。

「刣」はまさに台湾語を発音するための字。ほとんど見かけない漢字のため、文脈がないと、意味はおろか、発音すらできない人がほとんど。いきなりできる人は台湾語の学者ぐらい。それよりも、発音が似ても似つかないことを承知で、中国語の字を借りて、台湾語で読むほうが実用的。

今回の看板は、中国語の漢字「殺」の単体を拝借だけではなく、「自殺」と「他殺」と中国語にある単語をうまく利用した。まさに言葉のセンス冴えまくり。ちなみに、「自殺」は「自分で切る」、「他殺」は「店で切ってもらう」という意味。

しかし、台湾語の理解できる人なら「えっ、はあ~」と反応できるけど、知らない日本人観光客とかが見ると、びっくりして固まっちゃうんだろうな。

では中国語ならどういうのか。「自分で切る」は「自(己)切」、「店で切ってもらう」は「代切」になるでしょうか。

最後に、「カットフルーツ1つ買った」と言いたいなら、「我買了一盒(盤)切好的水果」。レストランで食事の最後に出る「カットフルーツ」は「水果切盤」と言ったりする。

很可惜今年不能回台灣過中秋,殺不到柚子!(今年の中秋節は台湾に帰れず、文旦が食べられない、くーっ)

台湾華語・台湾中国語は任せて!台湾人による中国語教室・翻訳・通訳サービス T-Chinese
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする