Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

ゆらぎ

2008-04-27 | 想い・雑感
癌による死を少なからず見つめてきた
一人一人その姿や態度は異なるが
多くの場合最後は意識が薄らぎ
亡くなるときには穏やかな顔つきとなる

旅立つ瞬間にはおそらくすでに意識は無いのだろう

また末期に訪れる様々な苦痛に対する緩和治療も
以前に比べ随分進歩しており
のたうち回るほどの苦痛を経験することは少なくなった

そのような状況を見ていると
苦痛という意味での死に対する恐怖や不安は
私の中ではかなり薄らいできている

しかし解消するのが最も難しいのが
自分自身が消滅するということに対する
どうしようもない不安である
ここがまさに死生観と言われるものなのだろう

現在
ほとんどの場合に病名告知を行っているが
時にそれをためらうことがある
自分自身の死生観の揺らぎが
患者さんの心の動揺に増幅されたときに
ためらいも強くなる

自分自身の死に対する態度が安定すれば
落ち着いて患者さんの動揺を見つめ
その心の変化に合わせて
寄り添うことができるのだろうが
そこへの道は
まだはなはだ遠いと感じる

もし自分なりの死生観が確立できた
と感じるときが来たとしたら
その時もその考え方を人に押しつけることなく
それぞれの患者さんの気持ちに合わせていける
心の柔軟さや余裕を
持っていることができれば良いなぁ