紹介医から
幽門狭窄(胃の出口側が狭くなっている)の患者さん(Kさん)の紹介を受けた
内視鏡下に8ヶ所生検したが
いずれもGroup1(正常細胞)であったとのこと
内科医にさらに
6ヶ所から生検してもらったが
やはりGroup1しか出なかった
確かに
内視鏡では確かに粘膜面(表面)は正常粘膜で覆われているように見えるが
胃透視やCTの所見を総合すると
やはり癌としか考えられない
その旨を説明し開腹したところ
やはり進行癌 それも末期に近い
いわゆるスキルス胃癌
胃癌というのは胃の粘膜から発生してくるがんであるが
その粘膜には
固有胃粘膜と
腸上皮化生粘膜とがあり
前者から発生してくるものは
未分化型とされている
その中から粘膜の下を這うように広がるスキルス型の胃癌が出てくる
内視鏡での生検は胃の内表面をつまんでくるので
このタイプのがんの場合なかなか悪性の診断がつかない場合がある
また内視鏡所見では早期癌のように見えることもあるし潰瘍と診断されることもある
見つかりにくいが診断が着いたときには恐ろしく進行していることがある怖い癌である
Kさんの場合も
2~3年前に胃潰瘍の診断を受けている
すこし治療を受けたが定期的には受診しなかったとのこと
今回ですら生検でがんが出なかったのだから数年前に出なかったのは致し方ないが
潰瘍と言われ安心してはいけない
ある程度は定期的に検査を受け
確かに悪性所見がないことを確認するまでは
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そういえばスキルスから腹膜播種を起こしており
17~8年前に亡くなったアナウンサーの逸見さんの場合も
当初早期胃癌といわれたとの報道を聞いたことがある
しかし実際は拡がってしまった末期の状態だったと
司会者として活躍する素敵な笑顔と
闘病に向かう際の会見報道
いまでも思い出します