Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

喪失

2011-04-15 | 想い・雑感
 人は出会いを通じて、変わっていく。ある出会いが、自身の気が付いていなかったものを引き出すこともある。自分の中では出会いの前後で一貫して自分自身なのだが、かなり違う人間になっていることも少なくない。

 同様に別れも人を変える。自己の一部を形成していた人や物との別れは、一部とはいえ自分自身の喪失である。失うことにより打ちのめされ、悲しみ、胸が引き裂かれる状態になることもある。しかし別離の後は、それを失った自己と向き合い生きていくしかない。そして失うことにより新たに誕生したともいえる自己を、精一杯生きていくしかない。

 失ったものの大きさを改めて思い知らされながらも。

低侵襲

2011-04-15 | 想い・雑感
 開腹手術をすると、特に合併症がなくても術後数日間は白血球数が上昇する。そして順調であれば3日から5日くらいで正常値に戻る。発熱に関しても同様で、数日間は多少体温が上がっているのがふつうである。これは、手術という侵襲に対し、体(細胞)がだす種々の物質の影響であり、侵襲が大きいほどその反応も大きくなる傾向がある。

 これに対して、腹腔鏡下手術は低侵襲と言われているが、十数年前に腹腔鏡下手術を始めたころは、開腹手術と同様な術後の経過だったように思う。開腹手術と同じくらいのリンパ節郭性を目指しているのだから、思ったほど侵襲は減ってないのかもしれないと思っていた。

 ところが、腹腔鏡下手術が胃癌、結腸癌、直腸癌などに対する手術のかなりの割合を占めるようになるとともに、器具の進歩、術式の改善、手順の定型化などが進んできた。また、傷自体もかなり小さなものになってきた。手術終了時の出血は、計測できるほどにもならず、「少量」としか記載されないことも多い。

 こうなってくると、患者さんの体に対する侵襲は確実に減ってきたと考えられる。実際、術後の採血では、白血球数は正常のまま推移し、体温も平熱から微熱程度で終わることが多くなってきた。今や、確かに腹腔鏡下手術は低侵襲手術となってきた。

 また、以前腹腔鏡下手術は、患者さんには優しいが、術者には厳しい手術などと言われた。しかし、慣れもあるだろうが術者のストレスも随分減ってきて、外科医にとっても低侵襲となってきたように思う。