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ダンジーブログ

呼吸

2020-03-29 | 医療・病気・いのち

 普段意識せずに繰り返している呼吸。呼吸は換気とガス交換の二つが肺呼吸で生きている生物にとって必要な要素。

 換気は、肺胞まで十分に行わなければならない。酸素を血液中に取り込み不要な二酸化炭素を放出するというガス交換の場所は肺胞だから。気道は、気管からまず左右の主気管支に分かれたのち分岐を23回くらい繰り返しやっと肺胞にたどり着く。肺胞はとても小さな袋だから、それがつぶれずに広がってくれるというのは、身体の妙。意識せずに呼吸できるということは、とてつもなくありがたいことなのだと思う。

 肺炎などで気管支や肺胞レベルで炎症が起きると、水分が気道に出てきやすい。これが粘稠だと、換気もガス交換も効率よく行えなくなる。炎症がひどくなれば、肺が水浸しという状態にまでなる。そうなると普通に呼吸運動をしていても、呼吸機能は悪化していく。酸素を取り込めなくなったら死を待つばかりとなるので人工呼吸器の出番となる。

 人工呼吸器を装着してしまえば、胸は上下していて見ている人はほっとするかもしれないが、そんなに簡単な話ではない。機械的に空気を送り込んでも、肺が水浸しだと換気が肺胞レベルまで十分にできない、つまり換気ができないのだ。そこで送り込む空気(必要ならば酸素濃度も徐々に上げていく)にかける圧力を上げていき、肺を押し広げようとするわけだが、この圧が高くなるにつれて肺組織自体を破壊してしまうことになってしまうので高圧にすればよいというものでもない。また酸素濃度も高くなればそれ自体が肺組織を傷害してしまうというジレンマもある。治療者は呼吸器の設定を細かく調節し何とかしようとするが、限界があるのだ。

 志村けんさんが人工心肺による治療を受けているとの報道があった。真偽は分からないが、もし本当であるなら人工呼吸器による治療では、血液の中に十分な酸素を送り込めなかったということだ。そこで本人の血液を体外に導き、酸素化した血液を体に戻す、という方法で何とか体を維持するための酸素を送り込もうとする治療をしているという意味になる。

 呼吸なんて当たり前にできるときには、禁煙を勧められても愛煙家は聞く耳を持たない。しかし、間違いなく喫煙により肺は痛んでいく。肺胞があちこちで壊れていく。その状態で呼吸不全になり、もし人工呼吸器が必要となったときには、傷んでいる肺は送り込むガスの圧に耐えられないため呼吸器設定の限界がすぐにやってくる。ちなみに志村さんも多量喫煙が日常だったらしい。

 人生100年時代。体を長持ちさせようと思うなら、大切に使っていく必要がある。

 志村さんの、そして呼吸不全と戦っている方々の回復を祈ります。そしてCOVID19感染症が終息することを願います。


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