10年ほど前に
肝臓癌の破裂のため緊急入院となり
カテーテルで出血を止めたNさん
その後
手術
動脈塞栓術
全身化学療法
その他の治療を繰り返されてきていた
私が直接関わったのは
最初の手術のときだけなのだが
知人に似ているせいか
親近感がわき
入院のたびに話しかけていた
先日整形外科病棟に行ったとき
その人の名前があった
秋過ぎ位から
急速に癌病巣が増大してきたらしく
ある深夜腰の痛みのため
救急車で来院
入院の準備が整うまで
救急外来で待っていたところ
突然下半身に電気が走り
動かせなくなったという
脊椎転移からの脊髄圧迫と考えられ
整形外科で緊急手術になった
どうも転移巣自体による圧迫ではなく
腫瘍からの出血塊により圧迫されていたようだ
症状出現から5時間ほどで手術が行われたようだが
運動機能の回復は見られない
麻痺回復の期待は難しいとのことらしい
少しためらったが
病室をノックし入っていった
力なく微笑む顔が心に迫る
積極的治療という面で私にできることはなさそう
ただ もしよければ
しばしば病室を訪れよう
家族だけでなく
医療者がそばにいることを
なるべく伝えてあげたい
それにしても
癌とわかり
治療を行い
再発の事実に向かい合い
様々な治療を行ってきた後
癌による生命の危機という大きな問題に加え
下半身の麻痺という肉体的 精神的負担を抱えてしまったNさん
その人にどう接していけばよいのか・・・