傾聴

人の話をしっかり聞く
というのは
なかなか難しい

聞いているつもりが
聞きながら
考え始めている
自分の考えを
作り上げ始めている

それでは傾聴していることに
ならない

まずは兎に角聞く

と言うことは
本当に難しい

汗腺

汗というと
玉のような汗
を思い浮かべる方が多いと思いますが
人間の皮膚からはいつも水分が蒸発しています
目に見えない汗がこのように蒸発していくことを
不感蒸泄（ふかんじょうせつ）といいます

水分が蒸発していくとき
気化熱を体表から奪っていってくれることで
体温の上昇を防いでいます

今年は特に暑いので
少し汗腺の働きを良くしようと
カラスの行水程度しか風呂に入らない私が
少し長めに３９℃程度のお湯に浸かるようにしています

１～２週間続けるうちに
すっと汗が出るようになってきました

それにつれて
暑さにも強くなってきたような気がします
単に慣れてきただけかもしれませんがね

関連

人は様々な事どうしを
関係付けて考える傾向にある

黒猫が横切った直後に転んだりしたら
やはり黒猫は縁起が悪い
なんてね

ところがこれは
人間ばかりではなく
コンピューターだってプログラムによっては
関係ないものを関係付けたりするようだ

先日の大地震警報がそれ

紀伊半島あたりの小さな地震と
かなり離れた海底にある地震計のゆらぎを
関連付けて計算したみたい
この地震でここの海底まで影響があるとすれば
かなり大きな地震だぞ　それ緊急速報だ！　ってね

複数の事象間に
関連があるかないかというのは
慎重に検討しないとね
むつかしいことだけどね

隔たり

外来で患者さんにお会いしたら
紹介元の医師からどのような説明を受けてきたかを
まず確認する

患者さんの語る言葉は
医師の実際の言葉使いとは異なるだろうが
患者さん自身がどう受け止めてきたかを現している

多くの場合
現在の病状と患者さんの認識との間に隔たりがある
そこで紹介元から得た情報からわかる点を
患者さんの反応を見ながら説明し
その隔たりを少しでも埋めておく

その上でどのような検査がさらに必要かをお話し
その検査を進めていきながら
さらに説明を積み重ねていくことになる

無理に現実を突きつけるわけではないが
認識のズレが大きすぎては
治療を進めていくのがむつかしい

慎重

胃全摘後のFさん
食事を食べるのを随分怖がられる
注意深くなっていただいたほうが良いのだが
普通の方より
随分慎重なのでお話をお聞きすると

同じく胃全摘を受けた弟さんが
昔何度も嘔吐を繰り返していたのを見ているので
食べるのが怖いのだということ

そういうイメージの力というのは大きいので
無理せず
ぼちぼち慣らしていただくこととしましょう
どんなことでも無理はよくない

交通量

病院にお盆休みなどはないので
この時期に
移動したりすることはないが
街中の車の数がぐっと少なくなることで
今年もこの季節が来たなぁと実感できる

学校の夏休みが始まるときも
少し信号待ちにひっかかる回数が減るが
お盆がやってくるとさらに減る

日頃から
今日くらいの交通量だと
随分楽なのですがね

いちにち

老いを感じると
やはり寂しさを感じることが多いでしょう

でも
元気で過ごせた
一日　一日を
積み重ねてこれたから
今を迎えることができているんだね

今あることを感謝しつつ
今日も一日を
しっかり歩みましょう

暑い

朝の6時から２３０Kmほどバイクを走らせ
午前11時に帰宅した

若干雲が多かったお陰で
快適に走ることができたが
それでも気温がぐんぐん上昇

午後にはとても走れる状態ではなくなっていた
室温２８°に設定されている病棟が
とても涼しく感じた

本当に暑い夏です

移動

そこそこ歴史のある病院に勤務している
敷地が広いのもあり
継ぎ接ぎの建て替えが行なわれてきた
建物の間をつなぐ廊下は
エアコンの恩恵を受けていない

医局　外来　病棟　検査科

などの間を移動するとき
日中は暑さのために
眼がくらみそう

数年のうちには
全ての建て替えが終わる予定なので
そうなれば随分快適になるはずだが
それまでは
移動も命がけかな

電話

かなり厳しい状況になってきたAさん

少し体調を崩して二日間ほど病院に来れなかった奥さんに
朝の６時頃電話をして
今日は顔を出して欲しいと伝えたとのこと

早朝の病室で
助けを求めるように
携帯を握り締め
小さな声で訴え掛けるAさんの姿が目に浮かぶ

長年連れ添った人がそばにいると
安心するのだろうか

もともと言葉数が少なく
感情をあまり表現しないAさんも
奥さんには伝えたいことがあるのだろうか

ご本人と奥様が望むならば
今一度ご自宅で
過ごすことができるように
願っている

太鼓腹

太鼓腹の男性は
皮下脂肪はそれほどついていなくて
内蔵脂肪がたっぷりという場合が多い

女性の場合は皮下脂肪がたっぷりたまる

お腹の手術の大敵は
内臓脂肪

これが多いと
大体は手術の難易度があがる

また脂肪は炎症を起こしやすいのか
脂肪同士が妙な癒着をしていたり
厚みを増して硬くなっている部分があったり
脂肪内の脆弱な血管から出血を起しやすかったり

太鼓腹の方でも
最近では腹腔鏡下に胃の手術をしている
より慎重に操作を進めなければならないし
切離する組織量も増えるわけだから
手術時間だって長めにかかる

手術点数を上げてほしいですね
といっても
手術料が外科医の手に入るわけではありませんけど

にっちもさっちも

胃癌や大腸癌が再発しても
抗癌治療の進歩で
随分長生きできるようになってきた
以前だったら数ヶ月の余命と言われていたような状態でも
数年にわたり命を長らえ
日常を送ることは決して希なことではなくなった

しかし
どこかで治療の限界がやってくる
癌に対する積極的治療ができなくなる時がやってくる
そうなってくると
体力が落ち
抵抗力が失われ
体を動かすことも難儀になってきたりする

痛みが出たり
神経障害が出たり
食事ができなくなったり

癌治療の進歩とともに
緩和ケアも進歩しているが
とてもケアが困難な方に出会うことも
多くなってきた

野良

入院患者さんの様子を診終わった休日
駐車場に向かう途中
建物の間をゆっくり歩いていく野良猫ちゃんを発見

たまたま持っていたチップを手に
先回り

現れたところで声をかけると
逃げ出そうとする
すかさず餌を持ってるよと見せながら少し近づき
食べやすそうなコンクリートの上に餌を

離れればすぐに餌のところへやってきたが
じっとこちらを見て
食べようとはしない

車に乗りエンジン始動
サイドミラーで確認すれば
漸く食べ始めていた

滅多に見かけないが
痩せていないところを見ると
どこかで餌はもらっているのでしょう

入院患者さんの可能性は大
生あるものに触れて
ホッとすることがあるみたいだから

春は花

あまりの暑さに
草木の変化に目が行かなくなるが
気がつけば
厳しい日光にさらされながら
枝や茎を伸ばし
花を咲かせている

この勢いが頂点を迎えたと思えば
一気に秋へ

そして
落ち葉が地面を覆う

ただただ時は流れ
自然は
時節に応じた姿を
みせてくれる

構えず
自然の赴くままに

春は花

選択

帰宅時にバイクを見ると
後輪タイヤが少し潰れているように見えた
跨ると脚付きの具合が全く違う
明らかにパンク

今夜はふらりと少し離れた街まで
花火でも見に行こうかと思っていたのだが
パンク修理のあとで
往復１２０Kmくらい走るのはちょいと不安

諦めて
家でビール
これはこれで
穏やかなひと時

最近は
やろうと思っていたことができない状況になっても
あまりがっかりしなくなってきた

やりたいことできるのも嬉しいが
できないならできないで
別のことができる

一つの選択をやめたら
やめるという選択ができ
別の選択を拾い上げることができる

それでいい