せろふえ

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どくとるマンボウ青春記 北杜夫

2024年07月20日 | 
 図書館で見かけてそういえば若い頃何冊か読んだなあと思い、なつかしくて借りたが、これは読んでいなかったようだ。
 おもしろくてあっと言う間に読んだ。文字通り北杜夫の青春記で、旧制高校のばんからな学生生活やその後、悩み多き青春時代の、ちょっと普通の感覚では恥ずかしくて書けないようなことを書いている。文学者というのはそういう恥部をさらけ出すものかもしれないが、だから僕とは感覚が全然違う。読む方としては感心し、おそれいって若いってこういうことだよなあと感心したり、読んでいてはずかしくて飛ばし読みしたりした。おもしろく読めて、それからまだ読んでないのも読んだり、読み返したりしたくなった。読み返すと言ってもどくとるマンボウシリーズを何冊か、楡家の人々は飛ばし読んだりしていると思うなあ。

 今朝は5時過ぎから庭の草むしりをした。汗だくになったが、早朝は快適だ。腰を伸ばしに立ち上がったら、隣のめったに顔をあわせないおじさんが、散歩だろうかコンビニに行くのか、立ち上がった僕と目が合い、というか早朝に予期せず人がいてぎょっとしたようだが、おはようございますと言い合い、なんか楽しかった(^^;)。
 もう暑い。まだ今日は長い。

10ドルだって大金だ ジャック・リッチー

2024年07月16日 | 
 ジャック・リッチーは吾妻ひでおが良いと書いていて、クライム・マシンがとてもおもしろかった。
 これも短編集で、短編しか書いてないらしいけれど、シリーズものも入っていて楽しめる。

妻を殺さば
毒薬であそぼう
10ドルだって大金だ
50セントの殺人
とっておきの場所
世界の片隅で
円周率は殺しの番号
誰が貴婦人を手に入れたか
キッド・カーデュラ
誰も教えてくれない
可能性の問題
ウィリンガーの苦境
殺人の環
第五の墓

 ターンバックルのシリーズが好きだと吾妻ひでおが書いているのだが、彼は誰にも愛されるだろう。
 迷探偵(刑事?)ターンバックルはなかなかするどく推理を働かせ、それをとくとくと語るのだが、たいてい的外れで、でも事件は解決してしまうのだ。こんなふうに書いても「ネタバレ」ではないと思うのだが。

バーボン・ストリート・ブルース 高田渡

2024年07月12日 | 
 高田渡といえばフォークソングの神様で、まあ、1番知られているのは「自衛隊に入ろう」だろうか?

 これが発表されてすぐに自衛隊から直接「良い歌だから使わせてくれ」ど電話があったというのだから笑ってしまう。
 僕自身はぼうっとした子どもだったので、高田渡のことを知ったのはずいぶん大人になってからだ。もしかしたら職に就いた後だったくらいかも。たしか中学生になった頃に「結婚しようよ」(吉田拓郎)を僕よりは都会の年下のいとこに教えられたくらいだもんなあ。精神的にとても晩生(おくて)だったし、いまも世の中、世間の嗜好なんかには遅れまくってるなあ。

 バーボン・ストリート・ブルースは自伝。なんで読もうと思ったか忘れたが、とてもおもしろかった。(若い頃)の気骨のある様がすばらしい。ただの酔っ払いじゃない。ありがたいことに今はyoutubeでいろんなのが見える。笑っていいとも出演のなんかも笑って、うれしくなる。
 享年56歳(!)しかも僕には老衰としか思えない。

ファザーファッカー 内田春菊

2024年07月09日 | 
 内田春菊の漫画を読んでいると、その人物も知りたくなって、検索し、これも読まなきゃあなあと思って図書館に入っているのを借りて読んだ。自伝的小説。義父(と実母)に性的虐待を受けたことを中心に生い立ちから家出までを書いている。一読の価値はあるが、マンガのほうがすばらしいね。本人も言っているが、小説の方が社会的地位が高い。だから直木賞芥川賞の候補になったりして、知名度も上がったのかもしれない。でもマンガの方がすばらしいし、マンガという入れ物が文字だけの小説よりすぐれている、と実感する。といっても文学は文学として存在価値は揺るぎない。ともかく内田春菊がこれほど壮絶な人生を送り、そして健康な精神でいることに敬服する。他のマンガも気づいたら読む。

なぜ日本のジャーナリズムは崩壊したのか 望月衣塑子 佐高信 往復書簡対談

2024年07月01日 | 
 2020年初版なので安倍晋三がまた生きていた頃だ。いまはさらにひどくなっていてジャーナリズムの名に値するようなものは日本にほとんどない。
 そうだ、この頃からこんなだったと思い出しながらあきれかえり、怒り狂って読んだ。
 政治三面記事の担当記者のことは世間では政治部の番記者というらしいが、新聞関係では偉いらしいが、そんなのただ政治家の近くにいておべっかをつかって、首相の側近が解散はいつ頃と言った、みたいなことを聞き出して記事にしてるんでしょ?そんなのどこが偉いの?まったくの無能の仕事だと思うんだけど。だからそういう記事は政治三面記事だと言っている。
 それはともかく、望月衣塑子が記者会見で当てられないので抗議したら政府はもっとひどくなって、番記者だかテレビの記者だか政府に対してでなく望月衣塑子を攻撃してきたというのだ。マスゴミの名に恥じない愚劣さだなあ。

 今ホットな、マスコミが伝えなければならないニュースにはこんなのもある。


 沖縄の性犯罪と政府の隠蔽(選挙前には伝えず)も大きく伝えるべき内容だろう。ほかにもたくさん。

絵で書いた日本人論 ジョルジュ・ビゴーの世界  清水勲

2024年06月20日 | 
 図書館の漫画なんかを置いてあるところで見かけて借りたのだが、とてもおもしろかった。
 明治時代に日本に来て日本人と結婚した(そしてそのうち妻子を捨てて日本を去ったらしい)画家が描いた漫画が当時の日本のこと、描いた本人の考えを表していてその作品そのままを紹介したもの。
 著者(清水)は画家と言い、作風から不当に評価が低いと考えているらしいが、これは漫画だ。漫画として評価が低いのかどうかはちっともわからない。
 変な評伝でなく、作品が収められていてすばらしい。描かれている人物の表情などをかってに解釈していてそれは実に良くない。
「その表情は、仕事に徹することからくる無表情な冷たさがうかがえ」
 などと描いてあったりするが、そうかなあ、僕には全然そんな風には見えない。
 これは楽譜の校訂にもよくあることだが、その時代の一般的な考えが盛り込まれてしまったり、個人的な解釈が入ってしまったりする。仕方のない面もあるが、ダメなことも多い。
 この著者はダメなところが多く、あまり参考にならない。
 逆に、もともとキャプションがついているものが多く、それをちゃんと逐語訳して欲しかったが、なくてとても残念だ。

 しつこく書くがともかく原典が大切。解釈は解釈としてあくまで個人あるいはその時代の解釈なのだとわかるようにすることが大切。考古学でも、今は、今の時代の技術、解釈で修復したりせず、埋め戻すというようになっていたりするのだ。(埋め戻したからと言って経年変化を完全になくすことはできないけれど。)

老後とピアノ 稲垣えみ子

2024年06月17日 | 
 おもしろくてあっと言う間に読んだ。
 もうレシピ本はいらない の稲垣えみ子が子ども時代にならっていたピアノを再開した顛末。再開して、ハマり、毎日2時間以上も練習している、というのでは、僕には全然参考にならないのだが、楽器演奏って上を見ればキリがない。その場その場で楽しめば良いのだ、と言うのは我が意を得たり、である。もっと練習というか、義務ではなく楽しみとして楽器を触る、音楽を楽しむ、ということをしなければなあと思ったことだ。
 

もうレシピ本はいらない 稲垣えみ子 - せろふえ

稲垣えみ子は月の電気代が1000円以下で生活しているらしい。冷蔵庫は捨てたそうだ。この本は土井善晴の一汁一菜みたいな、ごはんと味噌汁、干し野菜とぬか漬けさえあれば食...

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佐野洋子対談 西原理恵子 リリー・フランキー

2024年06月12日 | 
 これはもう亡くなる直前のころの対談らしく、リリー・フランキーとの2回目は実現しなかったらしいし、余命2年と言われたその足で買ってすぐボコボコにぶつけ、鳥の糞のついたままのジャガーのことなどが出てくる。こうして生きて、死んでいきたいものだ。いつも本音の佐野洋子だ。

バッタを倒しにアフリカへ 前野ウルド浩太郎

2024年06月09日 | 
 新聞の書評で知ったのだったか、図書館で借りた。古本屋で何冊も見かけた。
 著者のアフリカでの綱渡り?のような研究の日記のようなもの。楽しく読めて、それから著者が職を得て、研究活動ができているようだし、ツイッター(x)はアクティヴらしいし、よかったよかった。


 政府自民党の政治資金規正法は「裏金維持法」と言われている。そのとおりだ。

 ここに写っている特にこの三人が見にくいのはその精神の醜さが表れていると思う。
 この記事にこんな見にくい政治記事をくっつけて申し訳ない。でも書かざるをえなかった。

クライム・マシン ジャック・リッチー

2024年06月08日 | 
 吾妻ひでおがおもしろいと書いていたので図書館で借りた。ほんとにおもしろい。著者は短編ばかり書いているようで、こういうのはユーモア・ミステリ、と言うのか、へー。魅力的なキャラクターのシリーズをたくさん書いているらしく、それがまたいい感じだ。


アンのゆりかご 村岡花子の生涯 村岡恵理

2024年05月27日 | 

 中学生になってしばらくした頃、本屋でばったり小学校の時の担任に会った。今思うと本屋で会ったのがうれしかったのではないか、本をプレゼントしてくれた。中学生の男子生徒に赤毛のアンってことはないだろう、と思っていたのだが、読んでみるととてもとてもおもしろく、このシリーズを次々と10冊すべて読んだ。続編以降はあまりおもしろくないよねえなどという人が何人もいたのだが、僕はとてもおもしろく読んだ。またたまには読み返してみるかなあ。再読は人生の大きな楽しみだ。
 図書館でこの本を見かけ、実は僕は「周辺」をあまり見ない方で好きな本の映画化されたもの、その逆などには慎重なのだ。自分の良いイメージを壊されたくない。まあそれでも見ることはある。連続テレビ小説の村岡花子のは全然見る気がせず、見ていない。後悔してない。
 この本はとても良かった。お孫さんが書いたものらしいが、誠実な書き方で心に染みた。

一瞬と永遠と 萩尾望都

2024年04月20日 | 
 萩尾望都のエッセイを偶然見かけて借りた。いつもの萩尾望都でとてもよい。理知的で示唆に富んでいる。僕が見ていない映画などの作品でわずかにわからないところもあるが、それすらわかるような書き方ですばらしい。
「厚木淳の「ノート」にレイ・ブラッドベリ激賛がのべられていたので、こんなすごい作家に対し、”波長があう”だの”探してたものがあった”だのいうのは冒涜じゃないかという気がしてきた」
 というのはまさに萩尾望都に対する僕じゃないか、と思ったことだ。

武器としての国際人権 藤田早苗

2024年04月14日 | 
 ともかく怒り狂いながら読んだ。ほんとに日本ってダメ。基本的に政府自民党、ひいては官僚どもがダメなのだが、結局日本人がダメなのかと思い、がっくりくる。日本人がダメだとしたら、もちろん本質がダメなのだが、教育がダメなのだろう。がっくりくる。
 こんなこと書くと、そんなことない、こんな良いところがある、とバカが書きそうだ。この絶望的な政治状況をどうにかしてみろ。こんな風に書かざるを得ないほど状況は絶望的だ。
 この本は日本国民が皆読むべきで、国際的にいかに日本がダメだと思われているかがわかる。みんなで声を上げなければならない。
 この本の中だけでも、民主党政権の時に少し良くなったが自民党が復権してダメにしたとか、民主党の批准した条約を安倍晋三がないがしろにしたとか、何度も出てくる。自民党を復権させてしまったことを強く強く後悔する。今や自民党が犯罪者集団だということはあきらかなのだ。国際人権なんて夢の世界になっている。せめて法治国家に戻したいが、それすらあやしい。ひどすぎる。

ドーナツ経済学が世界を救う ケイト ラワース (著)黒輪 篤嗣 (訳)

2024年04月10日 | 
 (金の)経済というかGDPというか、発展?あるいは膨張し続ける経済なんてありえないし、それを目指すべきでもないし、それは幸福と関係ない、という経済学あるいは社会学(というのはつまり人間のすべての活動学というか)の全体像を描こうとして本、と言うべきか。おもしろくてここ何日か夢中になって読んだ。
 ドーナツというのは新しいアイコンで、ふたつの同心円を描き、その内側つまりドーナツの穴は貧困や欠乏で、ドーナツの外側は過剰、地球の破壊を表している。人間の活動はすべての領域でドーナツの中に収まらなければならない、と言うもの。
 書いてあることは多岐にわたり、そのすべてに納得するが、それを実現する道筋はなかなか困難だなあと思う。(道筋はある程度示してあって、それはすばらしいことだ。)
 多くの人が読めば良いと思うし内容をいちいち書いたらきりがないが、ちょっと本筋とずれているところもおもしろくて(学校の授業と同じ(^^;)
 経済学部の3年生は1年生より利他的な価値観にはるかに低い評価を与えている、と言う。またゲーム理論を学ぶと利己的な行動が増えたという。どちらも経済学が消費者を利己的なものとして想定しているからだという。すごい。
 最後通牒ゲームもおもしろい!(p.123)が引用するには長すぎる。読んでください。

だめ連の「働かないで生きるには?!」 神長恒一 ペペ長谷川 

2024年04月08日 | 

 働きたくない、働けない、というふたり「だめ連」のトークなど。
 働かないで生きるためなら、親にたかることも、もちろん生活保護なども辞さない。でも左翼的?労働組合活動などにも(全然自分ではやらないくせに)好意的なところが潔(いさぎよ)いのか、潔くないのか。伊藤比呂美まで出てきてしゃべってるのがすごい。
 こういうやつらがいるから生活保護とかが攻撃されるのだ、とも思うが、いやそんなことはない。
 竹中平蔵のような「首にできないやつなんか雇えない」などという無能経営者の方が百倍も万倍も社会の害毒だ。