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仰げば尊しが大きく題名として印刷されているが、『小学唱歌集』全軌跡 のほうをクローズアップすべきで、あやしい出自の小学唱歌の原典をさぐる軌跡を書いたもので、すばらしいし、なかなかおもしろい。
蛍の光がスコットランドの曲だというのはよく知られているが、他の曲もスコットランドの曲だと誤解というかはやとちり?されていたり、他のいいかげんな推測を排して、ちゃんと原曲を探している。
その、原曲を探す過程で「民謡」とはなにか、とか、明治維新がらみの西欧のキリスト教の布教のこととか、いろいろ根源的なことまで踏み込んでいておもしろい。
「民謡は、(略)むしろ「わらべうた」とか「春歌」のほうが民謡的である」「あるアメリカの民俗学者は「春歌」が含まれていない民謡集はすべて編集されたものだ」というのはなかなかすごい記述だが、まったくそうだ、そのとおりと思う。
専門的な本だと思うが、だれでも読む意味があると思う。