
バターが黴びた。
自閉症の次女が、それこそ言葉がない長い時期を経て、三歳か四歳か、単語を発するようになり、ボキャブラリーがもしかしたら数十くらいの時だろうか、
「ぶるーちょうだい」
と言うのだ。何のことかと思ったら、なんとブルーチーズだったのだ。(へへ、グルメ自慢。ぜんぜんグルメじゃないけど。)
いまでも次女はブルーチーズが好きで、数種類が冷蔵庫にないと気が済まないのだ。だからといってブルーチーズのどの種類が好きとか、そんなことはどうでも良いらしく、常人にはあずかり知らぬこだわりなのだ。こまったもんだ。バターとチーズと一緒にしているわけではないが、もしかしたらバターナイフを介してカビが生えたのだろう。