
10月11・12日で尾瀬に行ってきました。
四方を山に囲まれたその中に、日本最大の高層湿原である「尾瀬ヶ原」が広がっています。

湿原の水が早朝の放射冷却で冷やされ、もやとなって立ち昇る幻想的な風景が見られるのも尾瀬の魅力の一つ。
この日も夜明け前の湿原は、濃い靄で覆われていました。この靄は気温の上昇とともに、温められた空気によって上空へと移動していきます。
上の写真の20分後には、湿原の遠くに木の姿がうっすらと現れました。

だんだんと空が白み、燧ヶ岳の東肩がオレンジ色に染まってきましたが、まだ日の出には遠い5:30。

一度、山小屋へ戻り朝食を食べることに。
そして、1時間後に湿原へ戻ってみると、ちょうど朝日がのぼってきたところでした。

まだ靄が地上にとどまっている中での太陽の光。この条件下、太陽の反対側に白い虹が現れることがあります。

振り返ると白い虹の足元がみえました。
それを辿ってみると…。
白虹です!!!
正確には霧虹。


通常の虹は大気中の雨(水滴)に光が反射し、プリズムのように分光されて七色になります。一方、霧に反射してできる霧虹は、水滴がより細かいため、全ての波長の光が同じように散乱し、白色になるのだそうです。

この白い虹を見るためには、自分自身も靄の中にいること、そして強い光が自分の背後からさすことが条件だそうです。通常、靄は気温の上昇とともに空へ登ってしまうので、この条件を満たすことはなかなか難しそうですが、盆地状の地形と湿原を併せ持つ尾瀬では、出現のチャンスがだいぶ高くなります。
とはいえ、実は40年近く尾瀬に通って、ようやく見られた今回の白虹。
いや、本来ならもう少し見られてもいいのですが…

感動もひとしおです。
10月ということで、霜降る朝を期待していたのですが、気温が下がらなかったおかげで、この素晴らしい風景に出会うことができたのかなぁ…。
自然はその時その時で、本当にさまざまな表情を見せてくれるものです。


朝露も美しく、最高の朝となりました。
@尾瀬国立公園・見晴地区
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