ハリソン君の素晴らしいブログZ

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『ニンゲン御破算』

2019-01-02 21:00:28 | 多部未華子








 
2018年6月にシアターコクーンで上演された、松尾スズキ作・演出による舞台『ニンゲン御破算』がWOWOWで放映されました。多部未華子さんがご出演されてますが主役じゃないので、これは劇場観賞しておらず初見です。

2003年に八代目中村勘三郎(当時は勘九郎)を主役にアテ書きして上演された、松尾スズキ初の幕末時代劇『ニンゲン御破産』を、今回はタイトルを一文字だけ替えて阿部サダヲ主演でリメイク。

共演は岡田将生ほか、荒川良々、皆川猿時、平岩 紙ら「大人計画」の面々。多部ちゃんが演じるは2003年版で田畑智子さんが扮したヒロイン「お吉」、吉原の遊郭に自ら積極的に売られていく田舎娘の役です。

幕末から明治にかけての混沌とした時代、芝居好きの主人公=実之介(阿部サダヲ)が人気狂言作家(松尾スズキ)に弟子入りを志願。自分が考えた狂言のストーリーをプレゼンしつつ、それ以上に波乱万丈な自分自身の生い立ちも語って聞かせる実之介。

どっちが狂言でどっちが実話なのか判別出来ないまま、いつも通り異様に速いテンポで(もちろん下ネタを交えつつ)話は進み、最後は思いがけず感動的なフィナーレを迎えます。

WOWOWでは2003年・中村勘三郎バージョンと2018年・阿部サダヲバージョンを連続放映。両者を比較しながら観るという楽しみをプレゼントしてくれました。

どちらも三時間超えの長丁場で、正月休みでなければ両方観るなんてことはまず不可能。正直言えば2003年版は半分早送りしながらの観賞だったけど、両者の共通点、相違点を大いに楽しむことが出来ました。

どっちが良かったかと言えば、多部ちゃんが出てる出てないに関わらず私は2018年バージョンに軍配を挙げます。中村勘三郎さんにアテ書きされたストーリーにも関わらず、阿部サダヲさんの方が圧倒的にハマってるように私は感じました。

内に秘めた狂気とか、性別を超えた情念の深さとか、芝居へのマニアックな愛情とか、阿部さんの方がダイレクトに伝わって来て私は心を揺さぶられました。

それはもしかすると、俳優としての力量うんぬんじゃなく、阿部さんの方がキャラ的に私自身に近い=自己投影し易いからってだけの話かも知れません。どんな狂人を演じようと勘三郎さんはどう見たって立派な大人ですから、私みたいなダメ人間とは全く別宇宙の人。阿部さんも立派な大人なんだけど、ダメ人間にも見えちゃう強みがある。

あと、2018年バージョンはBGMが生演奏で、和洋折衷のバンドサウンドがめちゃくちゃカッコいい。もちろんセットもグレードアップしてるし、録画中継で観てもシビレるんだから劇場で生観賞した人は鳥肌モノだった事でしょう。

そりゃあ、同じ作者がわざわざリメイクするんだから、新しい方が良くなってなきゃ意味無いですよね。それでもオリジナルの方に軍配が挙がることがままあるんだけど、本作に限っては順当にリメイクの勝利だと私は思います。

そして、多部未華子さん。もはや余裕すら感じる堂々たるヒロインっぷりで、心から楽しんで芝居されてる姿にタベリストは癒されます。

田畑智子さんには無かったダンスの見せ場と、白い内腿を「ちょっとだけヨ」しちゃうお色気サービスもあるけど、それより何より多部ちゃんの生き生きした姿、幸せそうな姿が観られただけで、余は満足じゃ。

とはいえ、まだ初々しい15年前の田畑智子さんも、甲乙つけがたいくらい良かったですw とにかく可愛くて、萌えますw

2003年版は阿部サダヲさん(2018年版で岡田将生さんが演じた役)も荒川良々さんも平岩紙さんもみんな若くて可愛いですね。(平岩さんもなにげに好きですw)

2003年版で驚いたのは、星野 源くんが脇役で出てること。人気ミュージシャンが片手間に俳優やってるものと思ってたら、こんなに前から舞台演劇もされてたんですね。ちょっと見直しました。

そんなワケで正月早々、純粋に楽しませて頂きました。最初はついて行けなかった松尾演劇にも、最近すっかり慣らされて来たみたいですw
 

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